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組織のぜい肉をとり、合理化を進め、戦略を再検討し、R&Dへの投資をふやす――これらの打ち手は、新しい競争状況に直面しているアメリカ企業が選ぶ改善策になっている。
経費節減は、経営者がその効果を理解でき実施しやすく、しかも効果を簡単に測定できる。操業の減量化の効果についても同様のことがいえる。戦略の見直しについても、経営者が熟知しているプロセスをたどればいい。これらの打ち手については、それがどういう経過をたどるか、経営者は明確に述べることができよう。
しかし、技術系でない人が多い経営者は、R&Dへの投資結果の進行状況や投資の適切性を即座に評価するという点では、どうだろうか。著者たちは、長い経験にもとづいて、簡単に使いやすいチェックリストを提案している。これを使えば、経営者は自社の技術面での成果を評価できる。
経営資源の配分対象になるすべての企業活動のなかでも、R&Dへの投資ほど、その結果が出るまでに要する期間が長くかかり、成果の確実性も低く、真っ暗の競争環境に直面している分野はない。
R&Dのための資金は現在の収入から直接支出されるにもかかわらず、その見返りは、もちろん見返りがあるとしての話だが、遠い将来の利益にだけしか寄与できない。
このように不確実性は高いけれども、効果的なR&Dは多くの企業にとって生き残りのための必須の方策になっている。もしR&Dを実施しなかったり、R&Dへの投資を不当に少なくしたり、R&Dのやり方を誤ったりすると、企業にとって致命的な事態が生じるかもしれない。
しかし、大部分のゼネラル・マネジャーはR&Dの技術的な側面については精通していない。たとえ精通していなくても、彼らはR&Dの分野でリーダーシップをとり、方向づけを行ない、R&Dの長期目標、予算、スケジュール、チェック・ポイントを設定しなければならない。こういった仕事を社内の科学者や技術者にまかせてしまいたい、少なくとも新技術を商品化する時がくるまでの間はまかせてしまいたいという誘惑を、経営者が抱くのもむりないことである。
この誘惑に負けては重大な過ちを犯すことになる。技術部門のスタッフは自分たちの仕事を支持するために不当なほど楽観的になりがちであるが、技術以外の問題点へ関心を示すことは少ないと思われる。要は、経営資源の配分を求める社内のR&D部門の要求と市場の実態とをバランスさせることが、ゼネラル・マネジャーの責任なのである。
それでは、技術の素養に欠ける経営者が、R&Dに必要とされる方向づけやリーダーシップをとるためには、どうすればよいのだろうか。R&Dの初期段階で、よいプロジェクトと悪いプロジェクトをどうすれば見分けることができるのだろうか。プロジェクトの進行状態をどのようにすれば、うまく監視できるのだろうか。
本稿では個々のR&Dプロジェクトと全体的なR&D計画を評価するための、実績のあるやり方の概要を述べる。ここで紹介する方法は簡単かつ単純であるが、もともとそうなるように作られたのである。筆者たちは、すでにR&Dの管理者および経営コンサルタントとしての業務のなかで、これらの方法を使って成功してきた。



