グローバルな競争力を保持するため、多国籍企業には世界的規模での提携・協力を推進する必要が高まっている。この必要性は、大小を問わず企業間で世界的戦略連合(global strategic partnership-GSP)が増殖していることにも表れている。GSPは、成長産業、斜陽産業を問わず、また製造業、サービス業を問わず、世界経済のあらゆる部門にかかわる重要な新しい戦略オプションとなりつつある。

 小規模企業の場合でも、同格企業あるいは巨大企業との世界的連合は、いずれも将来の機会を約束する最も利益に満ちた方向である。自らのポートフォリオのなかに何らかの形でGSPを組み込まない限り、いかなる企業も国際的なリーダーシップを手にするのは難しく、またいかなる国も世界経済のなかで繁栄を享受することは難しい。

 以下に、いくつかの例をあげてみよう。

 □ AMCとルノー社は7年前に提携し、これによりアメリカ側の自動車メーカーには資金と前輪駆動乗用車の経験の流入が、そしてフランス側企業にはアメリカ市場が開かれることになった。以来、GM、フォード、クライスラーも、マツダ、トヨタ、鈴木、いすゞ、三菱、あるいは台頭しつつある韓国の自動車メーカーとの間で生産提携を結んでいる。

 □ AT&Tは、ヨーロッパの情報技術分野のリーダーであるオリベッティおよびフィリップスとの間で2つの協定にサインしている。これら企業との経験・蓄積の結合により、AT&Tはヨーロッパに橋頭堡を築き、そこから世界への展開を期待している。

 □ ゼネラル・エレクトリックは、フランス国有のSNECMAと連合を組むことにより、高性能航空機用の低公害エンジンを生産している。提携を行なうに当たって、両者は8億ドルと推定される開発コストを分担することに合意したが、この金額は両社とも単独で負担するのは困難であった。

 □ マジソン・アベニューでは、1981年にヤング&ルビカムが、世界最大の広告代理店である東京の電通と提携したことが引金となって、国際的共同事業の波が押し寄せた。さらに、このアメリカの代理店は自社のマーステラー・アドバタイジング部門を、フランスの市場リーダーであるユーロコムの傘下のハバス・コンセイユなど欧州の関係会社と合併させることを計画している。

 □ 東西間の共同事業も増加している。この種の事業の最近の例としては、北朝鮮と日本の2商社、朝日サンサと隆興貿易が北朝鮮に31店舗からなるチェーンを設置し、日本と共産圏からの商品を販売することになった例がある。

 □ アメリカのハイテク企業は、日本、"第二の日本"および西欧からの競争圧力を緩和するため、マイクロエレクトロニクスおよびコンピュータ協同組合と半導体協同組合という2つの連合を組織した。

 上記の各ケースはいずれも巨大企業同士の連携であるが、GSPは必ずしも大規模な多国籍企業(MNC)の占有物ではない。むしろ企業家的能力と市場ニッチ(niche)を活用するため中小企業と組む企業がますます増加しよう。IBMがマイクロソフト社と組んだのもこのケースであり、後者の持つ卓上コンピュータ用ソフトウェアに関する充実した経験・蓄積を利用することが目的となっている。いっぽう、マイクロソフトのような小企業にとっては、世界市場への接近と大規模なパートナーの持つ強力な経営資源が身近にあることによる利益は大きい。