アメリカ株式会社の競争力衰退の原因の1つとして正規の戦略プラニングを攻撃するのが一種の流行になりつつある。最近のベストセラー経営書やビジネス雑誌では、過度に合理的なプラニング・システムを、完成にむだな時間を費やす、現実から遊離している、そしてなによりも悪いのは、トップ・マネジャーの間に危険な近視眼的財務指向をはびこらせるとして、これに固執している企業を批判する声が高い。

 こうした様々な批判にもかかわらず、本稿の著者は、大部分の企業幹部は依然として戦略プラニングを実行しており、しかもその価値を認めていると指摘する。調査し面接した幹部たちによれば概念そのものに問題があるわけではない。むしろプラニング・システムが挫折するのは、往々にして準備と実行に誤りがあるからである。著者によれば、優れた経営を行なっている企業では、ライン・マネジャーをプラニング過程に参加させ、ビジネス・ユニットを正しく定義づけ、行動ステップを詳細に設定し、そして戦略計画を他の組織管理機能と統合することにより、問題を克服することが可能だという。

 今日、経営問題の研究者の間では、戦略プラニングは落ち目だ、少なくとも守勢にまわっているとする意見がある。今また1つの流行の経営スタイルが姿を消そうとしているのだろうか。あるいは"過度に合理的な"経営を行なう愚行の例を、またもや目の当たりにしようとしているのか。戦略プラニングに多額の金をつぎ込んだ企業が、すべて今なお多くの問題を抱えていることを考えてみよ。あるいは当初あれほど魅力的に見えた数々のプランが、例外なくその実行段階で、あえなく挫折しているのを見よ。

 いくつかの企業では、欠陥の究明を誤ったために戦略プラニングが姿を消しつつあるかに見えるが、筆者が自分の調査と経験を踏まえてあえていえば、この衰退の報告は誇大であり、またいささか時期尚早である。

 戦略プラニングは、多くの教科書が指摘しているようにそれほど永続性のあるものではないが、これは批判者の多くが指摘しているような理由からではない。もし正規の戦略プラニングが数年しか続かないとすれば、それは、たとえどこで実施されようと、やり方しだいで結果はよくも悪くもなるということが理由である。つまり、やり方がまずければ脱落したり、そのメカニズムのなかでふりまわされたりするし、逆に適切に実行した場合には、戦略プラニングから戦略マネジメントに発展することになる。

 一般に戦略プラニングは導入の時点では、これは独立した原理ないし1つの経営機能と見なされる。いわばダイナミックな競争的環境下における一連の企業目標の達成に向けて計算された計画的な諸活動に経営資源を配分する機能である。これに対して戦略マネジメントでは、企業を運営していくうえでの広範な視座として戦略的思考を捉え、そのなかでは戦略プラニングは、予算、情報、報酬、組織など、他のすべての管理体系をその周囲に統合することのできる1つの手段と見なされる。この相互依存関係は通常は、企業が独立した戦略プラニング・プロセスの結果を実行するに際して問題に直面した時に改めて意識される。

 こうした区別と定義は、"優れた"戦略プラニング・システムがしばしば失敗するのはどういう場合か、そしてこうした弱点を総括することからなにが学べるかという問題に焦点をあてた1年にわたる研究プロジェクトの結果から導き出されたものである。この研究において、筆者と同僚たちは、米国系多国籍企業のビジネス・ユニットの責任者、本社企画担当幹部、あるいは戦略プラニング担当の最高執行役員(CEO)などからなる広範なサンプルと接触した。われわれは問題点を細かく摘出するためにアンケート調査を行なうとともに、その解決策を発見するために14回にわたって幹部対象のセミナーを開催した(表1、2参照)。現在までにアンケートには300人の回答があり、1日半のセミナーには216人が参加している。

 現時点で、われわれは以下の諸点を指摘することができる。

 □ 第1に、サンプル企業の87%は自社のシステムに失望感や欲求不満を感じているにもかかわらず、大部分は依然として戦略プラニングに深くかかわっている。