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今日の管理者について最もはっきりいえることが1つあるとすれば、それは彼らが問題を現実的に評価し解決しようとするさいに、ほとんど不可能といえるほど多くのことを考え、かつ配慮しなければならないことだろう。
あるものは、新しい考え方をまともに勉強する時間的余裕がないものだから、いかなる新しい考えも毛嫌いする、という反応を示す。また、あるものは最初からあきらめて、いろんなことで手いっぱいなので、その新しい考えの是非が判断できない、と正直に認める。
管理者にとって今ほどすぐれた予測が必要な時はないかもしれないのに、彼らは予測することに対して、その重要性を過小評価している。その1つの理由は、予測に限らずよくあることだが、予測が正しい時には、そのことはあまり評判にならないが、予測が間違った時には……、ということがある。
こうした問題に応えて、著者は20種類の最も一般的な予測技法の特徴をまとめ、それぞれの特徴を16個の重要な評価尺度に照らして測るチャートを作成した。その結果、管理者は、これを実務上の手引きとして、自分の優先事項を整理して、ある予測技法を選ぶことができるし、また考えられる最良の成果をあげるために、いくつかの技法を合成することが可能となる。
IBMコンパチブル・マイクロコンピュータのメーカーであるコンパク(COMPAQ)・コンピュータ・コーポレーション(ヒューストン)は、1984年の初め、同社の将来に甚大な影響を与える意思決定を迫られた。IBMがやがて独自のポータブル・コンピュータを発売し、このドル箱市場におけるコンパク社の優位を脅かそうとしていることがわかっていたので、同社のとるべき道は2つに1つだった。
この製品事業に特化する道を選び、評価の高い同社のポータブル機種を果敢に販売し続けるか、あるいは品揃えを拡大しデスクトップ型マイクロコンピュータなども手がけるか、であった。後者の道を選べば、設立1年後の同社が、IBMのホームグラウンドでIBMに対抗せざるをえなくなる。そのうえ、コンパク社は製品開発や運転資金に思いきった投資をし、組織と生産能力を拡張しなければならなくなるだろう。
コンパクの経営陣は、潜在市場の規模、構造および競争の激しさなど、いくつかの重要な未知要因に直面した。既存の製品事業を拡張しなければ、同社の活力は著しく損なわれるだろうと経営陣は認識した。この拡張が成功すれば、コンパクはスケール・メリットを享受し、同社はダイナミックで、かつ極めて競争の激しい業界のなかで生き残れるかもしれない。しかしコンパクの市場予測が間違っていれば、同社の将来は暗澹たるものとなるだろう。
こんにち管理者の多くが、新規市場に関し、同様の現実と不確定要因に直面している。彼らは企業の将来の競争力を左右する問題にたえず直面しながら、新しく、かつ変化の速い環境に対処しなければならない。つまり、彼らは互いに異なる諸々の影響力を広範囲にわたり判断しなければならないのである。
過去10年以上、各種の新しい予測手法が登場し、管理者がこうした各種要因を評価するさいの理論的な手助けとなってきた。しかし、めまぐるしい速さで変化する関連技法の進歩が、次々に新しい代替案を生み出し意思決定者たちを圧倒しているのが実情で、こうした各種予測技法によって約束されていることの多くが、まだ果たされていない。
予測技法の種類が増えるにつれて、経営トップは経済に関する自分たちの重大な前提や予測のいくつかが、極めて薄弱なものになったことも認識するようになった。



