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競争が世界的規模にまで広がったことと、経営資源上での制約のために、企業の行なうR&D(研究開発)のやり方が変わってしまった。
経営の基盤を技術におく企業は、たとえ最大規模の企業であっても、自社だけの能力と資金で開始した研究プロジェクトだけに頼ってやっていける時代は終わってしまった。同様に、ふつうは競争と関係ないテーマだけを実施している従来の業界団体の研究成果に頼れる時代も終わってしまった。
今日では、新しい形態の共同研究が芽ばえつつある。巨額の研究予算を持つ企業グループは、"競争力の基盤をつくるための研究プロジェクト"に力を集中することで、世界的規模の競争に対応しようとしている。さらに、共同研究活動も、今では企業の研究プログラムの一部分としてではなく、企業の戦略にとって欠くことのできないものと見なされるようになった。
今日、市場経済のもとにおかれている企業は共同研究開発組織を設立しつつあるが、これらの組織の目標と条件は従来の業界団体の研究目標や条件とは大きく異なっている。世界的規模で激化する競争に対処するために、多くの企業は"自社だけの力で研究・開発を行なう"という戦略には、もはや期待していない。これと同時に、最近のマイクロエレクトロニクス業界に見られるように共同の目的のために、あたかも山アラシが愛を交わす時のように非常に注意深くではあるが、協力しあっていこうとする動きが、はっきりと現われている。
これらの共同活動は、次に述べる3つの点で従来の活動と異なっている。
資金面 これら新しい共同組織は十分な資金を持っている。大部分の共同研究組織は約2000万ドルの年間研究予算を持っている(なかには年間1億ドル以上の予算を持つものもあり、最大規模の組織の年間予算は10億ドルにも達している)。これとは対照的に、従来からある業界団体の技術関係の年間支出は1000万ドル以下がふつうであり、大部分の業界団体の予算は、500万ドル以下である。
主体となる業界 これらの新しい共同活動の大部分は、マイクロエレクトロニクス、エネルギー、ケミカルなどのハイテク業界で実施されている。共同活動への参加企業は、すでに自社内でも巨額の研究予算を投入しているのが、ふつうである。
競争力 この新しい共同組織は、生産性の向上と国際競争力の強化のために必要な、より強力な技術力の開発に力点をおいている。すなわち"競争力の基盤をつくるための研究"、より正確にいうとメンバー企業間での"競争力を促進するための研究"に力を入れている。従来の業界団体は、基礎研究成果の提供とか、健康と安全のコストに関する研究といった競争とは関係のない活動を行なっていた。
これら3つの要因ごとの規模と目標水準の組合わせ方によって、企業が行なう共同研究活動の形態がきまってくる。最初の形態は、ポートランド・セメント協会のようなすでに数多くある業界団体で、ほどほどの予算を使って競争に関係しない技術的活動を行なう組織である。
2番目の形態は、公益法人のガス、電力および電信電話企業が設立した1億ドル以上もの年間予算を有する3つの巨大な組織である。



