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あらゆる業界において、強い競争力を維持するためには、正しく設計された新製品をタイミングよく導入する能力が必要になっている。製品のライフ・サイクルが短縮し、競争の嵐を避けるための避難場所となるような市場セグメントがほとんどなくなったため、企業は以前にも増して、新製品開発の方法をマスターすることを重要視するようになった。
アメリカの科学のおかげで、知識に関する未知の領域はますます後退していくが、その知識を市場で入手できる製品の形に変えることだけは、永続する問題として残っているのである。
本稿の著者たちは、新製品開発の管理における仕入れの高まる役割について、明確な事例研究を行なっている。特に強調するのは、納入業者を社内の設計プロセスに参画させ、仕入れ部門と技術部門との間に強い結びつきを作るために、企業は努力をおしんではならない、ということである。
コンピュータによる自動設計システム(CAD)、コンピュータによる自動製造システム(CAM)、ロボット工学というような新しい技術的な試みもないわけではないが、アメリカ企業の多くは、新製品の開発と導入に際して今なお極めて時代遅れな、"旧来どおりのやり方"を固守している。売上高1億ドルというすばらしい業績をあげている高精密医療機器のメーカー、メディカル・テクノロジーズ社(仮名)の経験もよくあることだった。
同社の達成した成長記録は驚異的で、ことにここ数年はそうだった。同社は高度技術に明るかったし、高性能で信頼度の高い、費用効果の大きな病院・医学研究施設向け製品の供給業者として、うらやむべきほどの名声を保っていたのである。その新製品、ユニテックは、いくつかのモニター機能を結合したもので、同時に高度なデータ解析の可能な機器として、技術的な躍進をなしとげたものであり、同社はそのおかげで少なくとも3年間は競争上有利な立場に立てることが明らかだった。ところが、このプロジェクトは出発点からつまずいて、しだいに尻すぼみとなってしまったのである。
まず初めに、相反する2種類の基本設計が存在した。1つは主な構成部品として、新しいコンセプトによるバッファー回路を全面的に採用したもので、技術ならびにマーケティング部門は、これを強く支持した。製造部門はもう少し旧来寄りの方法を主張し、社長が斬新な設計を支持する"最終"決定を下したのちも、なおその主張に固執したのである。
数ヵ月後、初期投資費用見積りの甘すぎることが明らかになった。内製に必要とされる設備は、当初見積りの45万ドルを上まわって、およそ60万ドルに達したのである。さらに重大なのは、仕入れ構成部品の予算が、少なくとも38%は上まわりそうなことだった。マーケティング部門は、このコスト増大分を回収するために価格を引き上げるならば、潜在顧客に対するユニテックの魅力は著しく減退すると主張した。妥協の結果、原価引下げのため設計変更は少なくすること、価格は引き上げること、計画利益率は引き下げること(製品の寿命のあるうちに、利益率の向上がかなえられるだろうという希望のもとに)が決定された。
次に生じた大きな支障は、試作モデルの組立ての最中に、2つの大きな納入業者から入手する構成部品に互換性がないとわかったことだった。もっとも、この業者のいずれも購買仕様書の解釈の仕方に間違いは、なかったのである。その結果、設計変更のための遅延と工具・打抜き型を再加工するための付加的支出が必要となった。
その他にも細かい問題が延々と続いたのち、市場導入の予定期日より7ヵ月遅れて、ようやく出荷が始まった。その後4ヵ月間は、かなりの注文が引き続いたが、同社が製造して出荷した機器はわずかの52台にすぎなかった。予算は175台分組んであったのである。そればかりではない。52台のうち半分以上が欠陥品だという報告が顧客からもたらされた。メディカル・テクノロジーズ社は市場にある5台に修理を施したが、さらに徹底した修理を行なうため工場へもどす予定のものが11台もあった。残る13台については、同社の市場担当者が検査しなければならなかったのである。品質管理、マーケティングの両部門は、会社がユニテックに対する信頼感を回復できるまで、その出荷を停止するように要求した。
どう控え目にみても、すべての結果は芳しいものとはいえなかった。しかも、事後監査の結果、次のような事実が明らかになったのである。



