新たな情報技術の戦略的意義を過小評価することは難しい。この技術は、製品、製法、企業、業界、それに競争それ自体の性質さえも変えつつある。最近まで、たいていの経営者は情報技術を支援サービスとして扱い、電算部門に任せっぱなしにしてきた。しかしながら、今こそ、すべての企業は新技術の幅広い効果と意味合いを、またそれがいかにして有力な、しかも持続的な競争優位を創り出すかを理解しなければならない。

 本稿の著者たちは、新しい情報技術の戦略的意義を分析するうえでの、有益な枠組を提供する。著者は、この技術が企業と供給業者、顧客、同業者との関係を変えるとともに、企業内部における日常業務も変えつつある実態とその原因を明らかにする。続いて、この技術が競争に影響を与えるやり方を次の3とおりに分類する。第1に、業界構造を変える。第2には、コストと差別化を支える。第3には、まったく新しい事業を生み出す。

 最後に、著者は経営者が自社に対する情報革命の影響度を、評価するうえで役に立つ5つのステップを概説する。

 情報革命が、わが国の経済を席巻しつつある。その影響から逃れられる企業は1つもない。情報を収集し、処理し、伝達するコストの大幅な低減が、われわれの仕事のやり方を変えつつある。

 たいていのゼネラルマネジャーは、革命が進行していることを承知している。その重要性に異論を唱える人は少ない。情報技術や機器に、ますます多くの時間と投下資本がさかれるので、経営者たちは、この技術はもはや電算部や情報システム部の独占的分野ではありえないという認識を高めつつある。競合他社が情報を競争の武器に使うのを見るにつけて、経営者たちは、新しい技術の管理に直接のりだす必要性を感じている。しかしながら、彼らは急激な変化に直面して、対処する方法を知らない。

 本稿の目的は、ゼネラルマネジャーが情報革命の挑戦に対処するのを手伝うことにある。情報革命の進行は競争や競争優位の源泉に、どんな影響を与えるだろうか。この技術を活用するために、企業はどんな戦略をとるべきか。競争業者がすでに実施している行動は、どんな意味合いを持っているだろうか。情報技術に対する数多くの投資案のなかで、最も急を要するものはどれか。

 こういう疑問に答えるために、経営者はまず第1に、情報技術は単なるコンピュータ以上のものだということを理解する必要がある。今日では、情報技術とは業界が創り出し利用している情報はもとより、その情報を処理するため、互いに収斂し連結しあう広い範囲の技術も包含するものと、幅広く認識する必要がある。したがって、コンピュータのほかに、データ認識機器、通信技術、工場オートメーション、その他のハードウェアやサービスなども含まれる。

 情報革命は、主として次の3つのやり方で競争に影響を与えつつある。

 業界構造を変え、その結果として競争のルールを変える。

 企業に競合他社をだし抜く新しい手段を与えることによって、競争優位性を創り出す。