リーダーの思い込みから生じる7つの「見えない壁」

 リーダーなら誰しも壁にぶつかる時がある。大規模なチームを率いたり、チームの士気を高めたり、上層部を説得して必要なリソースを得たりするのに苦労することもあるだろう。そのような時は、組織の官僚的な体質、社員の態度、経営陣の意思決定といった外部要因のせいにしたくなるかもしれない。しかし、20年にわたりいくつもの業界で何百人もの経営者にコーチングしてきた中で、多くの人にとって足かせとなっている最大の要因は、その人自身の中にあるのだと気づいた。自分自身の無益な思い込みを、筆者は「見えない壁」と呼んでいる。

 なぜ、「見えない」のか。これらの壁は習慣として染みついており、ほとんどの人はその存在に気づきもしないからだ。しかし、壁は厳然として存在し、私たちの思考、感情、行動のあらゆる面をひそかに形成している。心理学者のキャロル・ドゥエックによる革新的なマインドセット研究が示すように、私たちが自分に対して持っているいくつかの思い込みが、学習し、順応し、成長する能力を、そしてパフォーマンスと結果を左右するカギになっている。重要なのは、自分で気づいていようといまいと、思い込みが結果に影響を与えることである。

 筆者もクライアントが見えない壁に悩まされるのを見てきたが、コーチングした300人以上のリーダーを分析した結果、特によく見られる7つの壁が明らかになった。

(1)私が関与する必要がある

 あらゆるレベルで細部まで自分が関与する必要があるという思い込みは、マイクロマネジメントにつながり、意思決定にボトルネックを生じさせ、チームの力を低下させる。

(2)すぐに実行する必要がある

 何としてもすぐに結果を出す必要があるという思い込みは、誤った切迫感を生み、慌てて行動する原因になるため間違いが増え、燃え尽きにもつながる。

(3)自分が正しいとわかっている

 目の前の問題の答えを自分だけが知っているという思い込みがあると、他者が協力する道を閉ざし、人の意見に耳を貸さず、ひいては、機会を逃してイノベーションを生み出せなくなる。

(4)ミスするわけにいかない

 自分のパフォーマンスは完璧でなければならないという思い込みは、不健全な完璧主義、優柔不断、リスク回避を助長する。

(5)私にできることは他の人にもできるはず

 他の人も自分と同じことができるはず、できなければ受け入れられない、という思い込みは、非現実的または不必要な期待を設定し、他者のスキルを過小評価し、成長を抑制することにつながる。

(6)ノーとは言えない

 頼まれたらいつでも喜んで引き受けなければならないという思い込みがあると、オーバーワークにつながり、優先順位が曖昧になり、区切りをつけられなくなる。

(7)ここは私の場所ではない

 自分がいまいる場所やレベルにふさわしくないという思い込みがあると、インポスター症候群や自己破壊行動によって心身が弱り、コミュニケーション能力、存在感、影響力が低下するおそれがある。