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不良品質、高原価、遅い新製品導入――これらは、不調和な生産システムにおいて、よく見られる兆候である。多くの実例が示しているごとく、今日の厳しい競争状態のもとにおいて、これらの兆候は必然的に市場での失墜を意味しているといえる。
そのような問題に悩んでいる企業に対する長年のコンサルティング経験に基づき、著者は、生産およびその関連機能――技術、設計、試験、品質管理――が製品開発の全工程をとおして密接な連携を保つべきであるとして強力な実例を示している。まず設計、次に生産技術上の検討、そして品質管理というのは、もはや正しくないのである。優良企業がすでに理解しているとおり、それらは、逐次ではなく同時並行的に行なうことが重要なのである。
新技術に投資を行なうだけでは、米国産業の競争力の復活は難しい。ものごとが正しくなされ、かつ過程は効率的でなければならないのである。産業界は、その機能を正しく迅速に果たさなければならない。産業界が生産に対して払った注視と投資にもかかわらず、米国産業は依然として諸外国の競争企業に対し、市場において後れをとっており、また製品にも多くの欠陥が見られる。そのため、スクラップ、リワークそして不効率な作業時間の消費により製品原価を不必要に高くしているといえる。
遅い新製品導入、不良品質および不効率は、独立した問題というだけではなく、それらはまたビジネス個々の機能における問題の兆候でもある。諸問題は互いに関連しあい、各機能相互間の連携に関する問題点を生じさせる。典型的な米国企業では、設計、生産、品質管理は、製品がある部門から次の部門へと移動する時点でしか連携がとられていない。いいかえれば、技術部門は他の部門と関係なく動いているということである。しかしながら、各部門が連携して機能し、技術部門を他の機能とより密接に連携させるほうが、より優れたやり方であるということができる。
どのようにしたら米国企業は、設計の誤りの恐れを除去し、補修作業による硬直的なコストを削減し、現実的な新製品導入日を設定でき、設計変更を削減し、かつ製品品質の信頼度を高めることができるのであろうか。経営者はそれぞれの課題に対し、別々な取組みを行なおうとするかもしれない。しかし、統合化された生産という概念を導入することによってのみ、それらすべてに共通した答えを引き出すことができるのである。このような成果が期待されているとはいえ、管理者の偏狭な、変革に対する決心を消し去ってしまうような態度や行動がとられるとするなら、もちろん成功はおぼつかない。
まず設計 つぎに品質管理
第2次世界大戦以来、米国は生産のスペシャリストとなった。米国においては、すべての製品を固定した一連の特化工程を通すような仕組みが築き上げられた。製品は技術開発(製品の基本設計を決める)からスタートし、詳細技術開発(設計の最終化および生産の仕組みの設定)へと動くのである。次に生産技術では製品を受けて、どの工具を使い、どの順序で加工するか、どの部品を外注もしくは内製するかを決定する。そしてIE化のステップで詳細な加工工程を設定し、必要なものを発注することとなる。それらの作業がすんだ後はじめて、生産、組立て、検査、試験が行なわれることとなる。要するに、崇拝すべき米国の伝統では設計を先に行ない、生産技術設計や品質管理は後で行なうわけである。
この運営方式では非常に大きな問題がある。この方式は、すべての部門がなすべきタスクを日程どおり誤りなく完了することを前提としている。しかし経験によれば、各部門の問題は知らず知らず発生してしまうものであり、それらの問題点修復のための費用は、最初に正しくものごとを行なう場合の費用より、はるかに高いものとなってしまう。
さらに言及すれば、各部門が自分たちの仕事を順序づけ、リソースを振り分ける独自のシステムを持っているため、生産は常にスムーズに日程どおりにいかない結果となる。結果的に、生産技術部門で製品の製造上なにが問題となるかを調べるころに、ようやく製品設計が完了に近い状態となる。また、試験や他の診断機能は、製品がその部門に到着するまでは関与していないのである。そのため問題点の発見は、さらに遅くなるのである。最も重大な見過ごしやエラーは初期においてのみ発見されるものであり、そのほかは、製品の生産がスタートした後でのみ明らかになるものである。例えば許容限界をこえた寸法誤差や噛み合わせ不整合などが出て、組立て工程の速度をにぶらせるなどである。
そのような問題が明らかになると、それらは通常、品質管理、品質保証部門の責任領域となる。何回かはQC部門の管理者は製造の作業班長や作業者と協力して困難な問題点を解決できるだろう。しかし、ほとんどのケースにおいて修復のための作業は、生産技術や工程技術に頼らなければならないのである。幸運であれば、これらの部門は機械、工具、付属品や工程順に変更を加え、製品を仕様どおりにできることとなる。いずれにせよ、どんな部品であれ不良に内製もしくは外製されたなら、それらは直すか、スクラップにしなければならないわけである。
また、多くの場合、問題点の解決は設計技術に帰結しなければならないことがある。もしも答えが容易で費用がかからないものであるなら、必要な変更は、すぐなされるだろう。しかしながら、通常のごとく、もしそれらが他の部品や性能仕様に影響を与える場合には、設計技術は生産技術や生産サイドとの間で妥協点を見い出さなければならない。しかし、そのような妥協は、たいてい、より多くのスクラップとロス時間を生む結果となるのである。



