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小売業の表情は、"気のきいた新しいアイデア"を思いつく人間によって、たえず変えられる、とかつて業界のある知恵者がいったものだ。この10年間におけるもっとも新しい変化は、オフプライス・ストアの驚異的な発展がもたらしたものである。オフプライス業者は、全国の有名ブランド品を低価格で販売することによって、業界に地歩を固めたが、とくに衣服、装身具、はきものの分野で著しかった。
伝統的な小売業者のあるものは、それ以上にひんぱんな販売促進を実施することを唯一の武器として、これと戦う決意を固めた。他のものは自らオフプライス事業に乗り出すことにより、敵と手を組む道を選んだ。
この展開が小売業の顔に表われた、ちょっとしたしわなのか、もはや消えないおりめなのかを断言するには時期尚早であるが、業界が大揺れにゆれていることは確かなのである。
オフプライス(off-price, OP)・リテーリングは、小売業の表情を変える驚異的なことだと、この10年間広く喧伝されてきた。対面販売サービスの小売店とディスカウント・ストアの中間領域を占めながら、オフプライス小売業者は、全国的に有名なブランド品を無装飾な、パイプラック方式の店舗で販売する。このグループの強さを示すと、以下のとおりである。
□ 業界アナリストによれば、全米でおよそ1万の店舗が衣料、装身具、はきものをオフプライス販売し、この種の商品による売上げの約5%を達成している。ある権威筋の話では、1990年までに、この種の店の売上高はおよそ168億ドルに達し、衣類、はきものの総売上高の9.2%を占めるに至るだろう(1)という。
□ 業界の生産性の基準になる1平方フィート当たりの年間売上高は、OP小売業者の場合200ドルと推定されるが、これは従来の小売業の約2倍に当たる。また、オフプライス店の在庫回転率は年9回であるが、これに対して百貨店の平均回転率は3.3回にすぎない。
□ もっとも業績のよい小売業のいくつかは、自らオフプライス販売に乗り出すことによって、競争を吸収することに決めた。ロード・アンド・テーラーを所有しているアソシエーテッド・ドライ・グッズは、オフプライス小売業者の母、ローマンズを買収した。Kマートは、デザイナー・デポと呼ばれるOP店を29ヵ所でオープンした。
□ ドレス・バーン、バーリントン・コート・ファクトリー・ウェアハウス、シムスといった独立のオフプライス業者のいくつかは、1983年に株式公開会社となったが、株価は1株当たり収益の30倍以上にもなることがしばしばあった。品質の優れた衣料品31店のチェーンであるバーリントン・コートは、150万株を売却し、モンロー・ミルスタイン会長の家族は250万株を1株28ドルで手放した(それ以降、同社の相場がかなり下がったことは確かである)。今年の初めに、この会社はニューヨーク証券取引所に上場された。
□ この業態に対する関心が著しく高まったおかげで、オフプライス小売業界の話題を専門とする月刊業界誌が誕生した。その名前は、『バリュー・リテール・ニュース』という。
トレンドを支えるもの
OP業者は、卸売価格より安い値段で商品を仕入れることが多い(ディスカウント業者が支払う値より安いことさえある)。百貨店とは異なって、販売奨励金、値下げ補助金、返品の権利、支払い期限の延長といった特典をOP業者が要求することは、まずない。その結果として、OP業者が商品の仕入れに困ることはほとんどなかった。



