-
Xでシェア
-
Facebookでシェア
-
LINEでシェア
-
LinkedInでシェア
-
記事をクリップ
-
記事を印刷
一般的に、マネジャーは論理的で、目的指向的で、決断力に富む存在であると信じられている。すなわち、マネジャーはどのように行動すべきかを決めるまえに、何段階かの分析を進めるものと信じられている。行動は思考のあとに起こされるわけである。しかし、著者のダニエル・アイセンバーグは、シニア・マネジャーが何を思考し、どのように思考を進めるかという点を調査した結果、上記の一般論が部分的にしか正しくないことを発見している。
成功を続けるシニア・マネジャーは、古典的な論理的思考のモデルを必ずしもきちんと守っていないことが多い。ということは、まず目標をきちんと設定し、状況を分析し、解決可能案を見つけだし、成功の可能性を予測し、意思決定を行ない、そして最後にその決定を実行してゆくためのアクションをとるという思考法に従っていない。またトップ・マネジャーは、論理的思考モデルにおいて主張されている「解決すべき問題にはひとつずつ取り組む」という原則にも従っていない。
成功を続けるシニア・エグゼクティブは、明確なゴールや目標を設定しない。むしろ、当面する大きな問題について概括的な認識を持ち、また何を達成すべきかを考えるよりは、どうやって効果的に行動を進めるべきかを考えてゆく。さらに、本稿の著者は、シニア・マネジメントに必要とされる技能を、他のマネジャーがいかに実践し、活用してゆくかという点についても、彼の調査結果を使って解説している。
「すぐれた頭脳を有するだけでは不十分である。その頭脳を効果的に活用できることこそ重要である」 レネ・デカルト
ジム・レブランは、かつて彼の事業部に属していたスティーブ・バウムに電話をかけ、ジムとの会見を望んでいる「品質管理」を研究するために最近設立された社長直属のタスク・フォースについて質問した。ジムは、タナー社の工業機械事業部門の長をつとめているが、現在は本社の技術部門のディレクターをつとめるスティーブなら、この2週間のうちに、なぜタスク・フォースがジムと会いたがっているのかを解明してくれるかもしれないと考えた。
「それは、あなたの事業部で大変すぐれた品質管理を進めているからですよ」とスティーブが説明した。
「そういうことか。それはすばらしい。ところでスティーブ、来週に予定されているシンガーの開くスタッフ・ミーティングの議題は何だろう」(シンガーはこの社の社長で、ジムのボスに当たる)
「それはですね、まず組織再編成について話し合って、それから各事業部の間接人件費の節減状況を話し合うことになっています。そのあと、シンガー氏のほうから、先週の経営会議の結果と、彼の日本へのビジネス・トリップの結果が報告されます」
「日本へのトリップの結果はどうだったんだい」
「彼が大阪から打ってきたテレックスでは、彼が非常に熱心に話しを進めている様子がうかがえました。でも彼は昨晩日本から帰ってきたばかりで、まだ彼と会っていません」



