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いま、あなたの経営する会社は、成功するかどうかの瀬戸際に立っている。競争相手の新製品に重大な欠陥があり、あなたが新製品を世に送り出しさえすれば、マーケットシェア支配に向けて大きな前進が期待できる絶好のチャンスである。あなたの前進を阻むものは何もないかに見えたが、どうしても製品設計グループと製造部門の確執が足を引っぱっている。この両部門の対立が尾を引いて、もしかするとスタートアップ予定日を少し遅らさざるをえない状況だ。競争相手がせっかくもたついているのに、両部門のうちわもめが終わらなければ、チャンスをものにできないかもしれない、とはっと気がついた。
さて、あなたはどうするか。本稿の著者たちは、抗争中のグループ間の対立解決のために、大きく違った2つの方法を提示している。1つは、中立のファシリテーター(橋渡し役)が妥協案を示し、両部門が互いに相手の視点を理解するように仕向けて、両者の対立を調停する方法である。もう1つの方法は、当該部門が独自にどんな関係が理想的かをまとめあげ、中立の進行役が中に入り、各ステップを踏んでその理想的関係を達成させる、というものである。
著者たちは、2つの対立事例を詳細に検討し、それぞれの解決方法の適用の仕方や第三者の役割を示し、どちらの解決方法が、どの場合に有効かを決める基準も提示している。
1981年、全米航空交通管制官機構(PATCO)がストライキを実施した時、多くの人はベテランの航空交通管制官が職場を離れたことに不安をいだいたが、同時にストにいたる前に連邦航空局とPATCOが協定を締結することが、なぜそんなに難しいのか理解に苦しんだ。協力しあっていかなければならない重要なグループ同士なら、たいてい困難を克服して互いに協働し続けられるものだが、時にはそれができないこともある。年来、運輸業や石炭業界内では論敵同士が小ぜりあいを続けており、それが公知の戦いに発展している。闘いが公然と戦われない時でも、あるいはそんなに激しくない時でも、会社が支払う人と物のコストは測りしれないほどだ。
私たちは、グループ間対立の解決に関し、それぞれ違った形をもつ2つの戦略が存在することを確認した。私たちがインタパーソナル・ファシリテーター法と呼ぶようになった方法は、中立の第三者が、対立中の当事者に共通の土俵を見つけさせるために、両者の橋わたしをするものである。ファシリテーターは意見の対立点のみならず一致点も明確にすることにより、対立を緩和させ解決をはかる。
私たちがインターフェイス対立解消法と呼ぶ方法では、対立者たちが全体グループのメンバーとして直接相互に接触する。中立の人間が仲介して、両部門の中心メンバーに双方の相違点を認識させ、それを解決するための一連のステップを両グループに踏ませる。
社内で尊敬されており、かつ中立であるラインマネジャーや社内コンサルタントが上記ファシリテーターやステップ・プログラムの進行役になればよいだろう。選ばれたファシリテーターは、反目中の両グループのなかの最高位者と同格またはそれより上位でなければならない。中立のファシリテーターより位が高く、攻撃的な性格のメンバーがグループ内にいると、ファシリテーターは往々にして相手にされない。対立が親会社と子会社間で起きた時とか、合併企業の場合のように両グループにトップマネジメントが絡んでいる時は、どっちに転んでも関係のない人間を外部から呼ぶべきである。
第1の方法では、ファシリテーターは時には議論自体に参画し、片方の伝言や提案を他方に伝える。第2の方法では、代弁者というか進行役は議論の内容には関知せず、主としてプロセスのガイド役を務める。
以上2つのモデルはまったく違った方法なので、読者がそのいずれかを採用したいと思われるなら、両方の長所、短所をよく理解する必要がある。私たちが以下に紹介する2つのケースは実話をカムフラージュしたものであるが、2つのモデルの利点と欠点がよく出ており、それぞれの仕組みを示している。最初のケースは、ある大規模生産会社で起きた中央技術部と工場幹部間の積年の争いである。2番目のケースは、これまた歴史の長い組合と経営者の争いである。
エルコ・コーポレーションの悩み
エルコ・コーポレーションにおけるインタパーソナル・ファシリテーター法の実例を以下に紹介するが、1ヵ月間にわたる折衝を時系列的に追いながら経過を述べたい。



