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ビジネスを理解する際、世界的な巨大企業が遭遇した逆境を研究するほど、教育的であり、また興味深いものはない。国際的な事業を行ない、かつ数ヵ国にまたがる債権者をもつ法人組織についてみると、長期にわたる業績不振は、株主や融資機関に容易に大幅な損失をもたらし、そして当該企業の存続すら危うくしよう。
著者は、財務的困難に陥った多くの企業のケースを研究し、そのなかから4社の例を選んで詳細に検討した。選ばれた4社ばかりでなく、他の多くの企業(クライスラー、ブラニフ、ボールドウィン・ユナイテッド、イテル等)の苦境は、マスコミや金融誌に詳細に報道されている。しかし、その報道の範囲は、ともすれば非常にトピックス的であり、すぐに危機に導く傾向にある。
本稿で、著者は、このような報道の枠をぬけ、まず、苦境の企業の共通点を見つけ出し、次に、財務的困難により通常の経営課題以外に意思決定を迫られた重要問題ならびに重要領域を指摘する。著者はこのような複雑なケースから確定的な判断を行なう危険を冒してまでも、経営者のために有益な教訓を指摘している。
大企業のトップマネジメントは、経営上のトラブルに直面した場合、まず財務上の危機から脱け出そうとし、次に競争力のある企業に回復させ、さらに財務的健全性を取り戻そうとする。しかし、彼らがそのような努力をするほど非常に挑戦的かつ特有の問題を抱えることになる。1940年から1975年の35年間についてみると、アメリカの大企業のなかで財務的に重大な問題を抱えた企業はあまりなかった。アメリカの経営者、融資機関、投資家は、経営不振に陥った際における経営上の特別の問題に対処する必要もなかったし、また、その問題を検討する必要もなかった。
しかし1974年から1975年と1981年から1983年に厳しい景気後退が起こり、それまでの状況は一変した。多くの大企業は、厳しい競争上・財務上難しい問題を抱えることになった(問題を抱えている主要企業については一覧表を参照)。
大企業が困難な状況に直面し、経営が不安定になると、経営立て直しのため各種の重要なグループが、かかわってくる。投資家や融資機関ばかりでなく、従業員、原材料供給者、顧客、当該企業が立地している地域は、企業が行なうあらゆる再建努力に重大な関心を持つ。
ここでは十億ドル企業4社――マッセー・ファーガソン(MF)、インターナショナル・ハーベスター(IH)、ドーム石油(Dome)、グルーポ・インダストリアル・アルファ(Alfa)――の経験について検討するが、とくに次の点を明らかにしようとつとめた。
□ 大企業経営にとっては当然の課題があるが、それ以外に、財務上の問題を確認する。
□ 再建の鍵となる経営上の対策とプロセスを浮きぼりにする。
□ 経営者、融資機関、その他の重要な関係グループに有益な教訓を示す。



