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優れた製品はえてしてコンパクト化されるものだが、パーソナル・コンピュータをめぐる問題は、企業がいくら解決しても、新たな問題が同じくらい出てくる。最も悪いアプローチは、その使い方に対する総体的なプランを欠いたまま、1台また1台と買い込んでいくやり方である。それではコストが野放しになるばかりでなく、一連のマシンが有機的な関係のもとに機能できなくなってしまう。
マイクロ・コンピュータに対するポリシーを立てるに当たっては、企業はまず、ソフトウェア、ハードウェアに対するスタンダードに力点をおくとともに、中枢のDP(データ・プロセシング)・スタッフと、エンドユーザー双方の責任を明確にしなければならない。究極の目標は、マイクロ群を企業情報システムのなかで円滑に機能するものとし、ユーザーらの作業協力を推進することにあるのだから、企業のポリシーは、イノベーションとコントロールの間のバランスを達成するようなものでなければならない。
大企業ではパソコンはいまや、電話機と同じくらいありふれたものになりつつある。パソコンはコンピュータ利用とその経済のあらゆる局面を変えてしまい、コンピュータ・テクノロジーを専門的なデータ処理部門からスペシャリストやマネジャーのデスクへと持ち込むに至った。シングル・パソコンは、たいした投資も要せず資金回収も早いうえ、リスクも少ない。
ところが皮肉なことに、この利用しやすさが多くの組織でマネジャーにややこしい問題を課しつつある。1台そして2台と導入していくというやり方をとると、予期もしなかったような事態を招来しかねない。まず第1に、いずれ互換性の利かなさ(インコンパティビリティ)の時限爆弾のタイムリミットがくるということである。先が読める情報システム・マネジャーなら誰でも危惧することだが、全体が各部分の総和以下になりかねないのだ。つまり、あるメーカーの機種にしか使えないようなプログラムの寄せ集めになったり、バラバラのデータベースがどんどん増殖してしまったり、さらに個々のマイクロ・コンピュータをメインフレーム・コンピュータにリンクできるようにするための複雑な手続きが要るばかりか、そのための追加投資を要する、といった具合である。
自分の無知に気づかない素人の介入も問題の種となる。例えば、今までシンプルなソフトウェア・パッケージをうまく使いこなしてきた財務アナリストのような場合、システム定義、設計、試用テスト、オペレーション、ドキュメンテーション(訳注:付帯情報・資料の体系的整理)、メンテナンスなどの微妙な諸局面について理解を欠いたまま、さらに複雑なプログラムを書こうとしかねない。それらの作業は、情報システム部門が、大量の未処理の手持ち開発業務をかかえ、新たなシステムへの要求の高まりに直面した際、一度に全部処理しなければならないものなのである。
スタンドアロン(訳注:それ自体で独立した機能をもち、他の機器やシステムと連動しない機器)のパソコンに3000ドル投資することは小さなリスクにしかならないし、その投資が1年以内に十分ペイする場合が多いことは、豊富な実例が示している。しかし、500台のパソコンに150万ドル投資するというのは、リスクが大きい。とりわけ問題なのは、隠れたコストがかかることだ。ソフトウェア、追加ディスク記憶装置、プリンター、通信用モデム(変復調装置)等々が加わると、1ユニット当たり3000ドルのコストは6000ドルから8000ドルほどにもなりかねない。しかもそれらマシン群が、企業のメイン・コンピュータ・コミュニケーション装置との互換性を持たないとなれば、投資の多大な部分を帳簿上抹消しなければならなくなる。
パソコンはえてして、われもわれもといった事態を生み出すものだ。自分に1台欲しがる社員がたくさんあらわれるが、彼らは不適切な機器やアプリケーションを選びかねず、しかもそのマシンもむだな使い方しかできないか、最初の興奮がさめやるとほとんどほったらかし、といったことになりかねない。
それらはすべて現実に起きる問題であって、パソコンに熱をあげるエンドユーザーが容易に見過ごすことなのである。彼らはともかくイノベーションということを真っ先に重視したがる。ところが、それとは対極的に、旧来のデータ処理のひと握りの専門家は、コントロールと原則を手ばなすまいとする。しかしコントロールということはえてして、やらせないという意味になりかねない。コントロール擁護派は、マイクロ群を集中オペレーションの手足として確保しようと、ことの進捗を遅らせ、エンドユーザーから、それぞれ独自のアプリケーションと利用に関する意思決定権をとりあげようとする。
両者の真ん中に位置するのが、システム・マネジャーで、彼らはイノベーションと原則のバランスをとろうとする。この人たちのうえに立つ上級マネジャーは、パソコンが開封され、いざ電源プラグがさし込まれた後に生じる組織面の問題を理解しておく必要がある。どんな大企業の場合であれ、この新しいマシンに対する明確・判明なポリシーなしでは済まされない。先覚的ないくつかの企業では、次の4つの主要原則に基づいた戦略を展開してきた。
1. パソコンの導入に当たっては、コントロールよりもむしろコーディネーションを重視し、情報システム(以下、IS)部門がエンドユーザー支援に当たって、新しい役割を演じるようにする。



