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多くの製造担当マネジャーは、本来は詳細レベルにおける人間の参画が少なくてすむような、よりよい管理手法を発展させるべきなのであるが、実際には、大半の時間を目前の問題を処理するだけに消費している。細かいことに入り込めば入り込むほど、在庫残高、部品の欠品、工程負荷、季節変動、生産割当および日程計画についての管理がおろそかになる。それに対する解決は、全体を把握しつつ詳細レベルの意思決定を下位へ権限委譲することである。
さて、階層的生産計画(hierarchical production planning、HPP)と呼ばれる新手法の導入によって、トップレベルの意思決定は集約データにより、現場レベルの意思決定は詳細データによる方法を可能にした。著者が示しているように、意思決定を単純化するよう、計画階層を組織にあわせることによって、トップマネジメントは権限委譲の範囲の決定、指導およびよりよい管理が行なえるのである。
製品が多様化し、製造工程がさらに複雑化していくにつれ、不適切な計画および管理システムというものは、トップマネジメントおよび現場管理者にとって非常に大きな問題となってきている。例えば、大手電気機器メーカーでは、資材所要量システムが製造工程の部品所要量に応えることができなくなり、ほとんど破産状態に立ちいってしまった。
テクノロジーの変換の速さに対応するため、この企業は製品を急速に変更していった。つまり、現在の製品の新しいバージョンを出したり、従来と異なった機能をもつ新しい製品を開発し、その過程で、様々なバリエーションの製品を造り出した。例えば、出力および入力コネクター、電圧・電流サイクルおよびパネルなど、顧客ニーズに合わせて選択できるようにしたものである。
このような急速な製品変化および顧客用の特殊仕様にもかかわらず、この企業では所要量計算システムを導入した。このシステムは、最も長い製造リードタイムにあわせて、56週間の計画期間を持っていた(部品調達のため40週、組立てのため16週)。しぶしぶながら、営業部門は品目ごとに56週の販売計画を用意した。その計画レベルには客先ごとの仕様も含まれている。そのかわりに、システムがレビューされ、4週間後に更新された後でも、販売計画の変更を主張できるというものであった。
第1回目の更新において、基本生産日程の一部が実行不可能なことが明らかになった。なぜならば、部品が指定された期日に間に合わないからである。製造部門は、部品の納入を急がせ、変更された基本生産日程通りに完成することに最善を尽くすことを約束した。
2回目の更新において、つまり4週間後であるが、同じような経過が繰り返された。基本生産日程には、毎日多くの変更がなされ、多くの問題が発生し、販売と製造部門間に多くの摩擦が生じた。このような問題は、次の更新時まで続いた。
時がたつにつれ、部品不足が深刻化した。主要部品の欠品が起きたため、在庫投資額の増加が同時に起きた。作業効率は落ち、部品の供給が遅れるようになった。なぜならば、資金不足を補うため、支払いスケジュールが延ばされ、それに対し部品供給者は、この企業の信用度を低く見始めたからである。
以上の結果、この企業では、所要量計算システムが要求する計画期間は長過ぎて不適切であるという結論になった。というのは、この会社のマーケティング方針は、基本生産日程を2~3週以上凍結することを認めないものだからである。製造担当部長は「われわれのトップマネジメントは、マーケティング戦略上における製造・在庫管理の持つ意味合いを理解できなかった」と述べている。
この電気機器のメーカーのように、多くの企業では大規模で費用のかかる生産管理システムを導入しながら、大きな成功を得ることができないでいる。この主要な理由は、多くの場合、製造工程に関する経営管理の不足ということから発生している。



