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デンバーの市立病院に勤める女性看護婦たちが、屋外の整備と造園を担当している男性従業員と同等の賃金を支払うよう要求した。また、オレゴン州の刑務所の女囚監督者たちは、男性守衛と同等の給与体系の適用を求めて訴訟を起こした。さらに、カリフォルニア州サンノーゼでは、市の行なった職務評価調査の結果、女性従業員の賃金は、それに匹敵する価値の職務に従事している男性の賃金より、平均15%低いということが判明した。
このように、公平な賃金とはなにかという問題がますます頻度を増して表面化している。おそらくそれは、女性の権利を提唱しているグループと女子従業員が、男女の賃金平等をいっそう強く主張するようになったためであろう。調査によると、男女労働者の機会均等と平等待遇の規定があるにもかかわらず、大多数の女性労働者の賃金は、依然として男性を下回っている。そして一部の人びとは、"より多くの賃金を得たいと思う女性は、給与水準の高い職業を選ぶべきだ"とする。
いっぽう、"典型的な女性職に関係のある技術や責任について、会社側はもっと高く評価すべきである"という意見も聞かれる。これらの人びとは、"市場の賃金相場やその他の要因にもかかわらず、同等価値の仕事には同等の賃金を会社は支払う"という"比較価値"の採択を支持している。
それでは同等価値の仕事に対しては、他の要因にもかかわらず、同等の賃金を支払うことができるし、またそうすべきなのか。そして、客観的基準に従って賃金を設定するということは、どのような意味を持つのか。この問題を含む賃金政策に関する本誌の最近の調査に応じて、約900名の読者から回答があった。回答から判断すると、問題がいかに複雑で、合意に達するまでの開きがいかに大きいかが分かる。
例えば、賃金格差の原因と、格差を失くしたらどうなるかという問題をめぐって、男女の意見に違いがある。男性読者は、比較価値賃金政策がもたらす諸問題に焦点を当てているのに対し、女性読者は、そのような政策を採択することにより、生産性の上昇その他プラスになる面がでてくると指摘する。
雇用者として、市の図書係より高い賃金を自動車の機械工に支給してよいのか。刑務所の守衛は、女囚監督者より高給を得る資格があるのか。最近のNational Academy of Sciencesの報告書によると、男女差別撤廃立法が施行されてから20年にもなるのに、アメリカの働く女性の所得は、平均すると男性の60%にもおよばないという。さらに、1978年には、ハイスクールを中退した平均的男子の所得は、女子大卒より多かった。男女の所得格差のうち、どのくらいの部分が賃金設定方法における男女差別に起因するかという点について意見の相違がある。しかし、経済・社会学的研究によると、教育と仕事の経験に基づく格差を調整しても、まだ約半分のギャップが残るという(1)。
男女間の権利平等修正案が否決されて以来、女性の活動家グループは、次のような意図をいっそう鮮明に打ち出した。1)男女の賃金を平等にすることが、議員にとって最優先課題である。2)男女間の経済的平等を目ざす法案を支持する政治家の当選に向けて、強力な運動を展開する。
さらに、1200社の大手アメリカ企業の600名の経営者を対象とした、ハリス世論調査を見ると、男女間の賃金規定の実施を迫る女性の声がますます高まっていることを、経営者は認識しているようだ。雇用機会平等委員会(Equal Employment Opportunity Commission)の前委員長エレノア・ホームス・ノートンは、賃金平等問題を1980年代の最重点課題とした。
これらの状況は、平等の価値を持つ職務については、職務内容の変化や、協定・市場賃金相場の格差にもかかわらず、平等の賃金を支払うべきかどうかという点をめぐって活発な論議を展開するきっかけとなった(2)。
このような"比較価値"をめぐる討論が表面化したのは、賃金の男女格差が認識されたことによるものの、賃金平等問題は性別とは関係なく、すべての職業におよんでいる。例えば、看護婦や秘書が自分たちの給与と、塗装工や郵便配達人の給与を比較して、公然と疑問を投げかける。すると、男性弁護士や会計士は、自分の給与を自動車機械工や建設労働者の給与と比較する。このようにして、現代の組織はその給与設定方法について説明し、それを正当化することを迫られることが、ますます多くなるかもしれない。



