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多くの企業における購買活動は、他の経営活動と比較して非常にルーチン化しているといえる。頻繁に発生している経済的、政治的な不安定さによる資材供給源の崩壊を無視するか、もしくは仕方のないものとして受け入れるか、多くの企業は依然として従来どおりの供給網と毎年、同様な契約更改を行なっている。しかも、購買部門の管理者の経営スキルおよび管理内容は、環境の安定していた20年も前に形づくられたものと大差がないのである。
しかしながら、現在の世界的な環境的かつ経済的な変化というものに対して認識と調整が必要とされる点において、購買部門だけが免除されているわけにはいかなくなってきている。旧態依然とした購買部門の姿勢は、陳腐化しているというだけではなく、費用的にも問題の生じるところである。
本稿において、著者はどのようにトップマネジメントが自社の資材供給網の弱点を理解すべきか、かつどのような戦略によって資材源流管理をすべきかという点について、実務的な解決案の提起を行なっている。読者は読み進むにつれ、ステップ・バイ・ステップで問題の根本から解決案の導入にまで理解の及ぶことであろう。
多くの企業の購買部門がかつて享受していた安定したビジネスの状態は、ますます失われつつある。資源枯渇および原材料の不足の危機、資材供給マーケットにおける政治的な不安定および政府の干渉、企業間競争の激化および技術的な変化の急激さなどが、平穏な時代を終了させた。
すでに多くの企業が経験したように供給と需要のパターンは、一夜にして覆されることがありうるのである。どのようにしたら企業はみじめな供給網の崩壊から身を守り、かつ新しい技術革新によってもたらされる経済環境の変化および新しい挑戦に対処していくことができるのだろうか。現在の強い保護主義の圧力のもとに利益性の高い国際企業として存続するためには、どのような能力が必要とされるのだろうか。これらの疑問に対し、すべての製造企業は答えを持つ必要がある。いくつかの企業においては、すでにこのような圧力に対処している。
例えば――、
□ あるヨーロッパの事務機器メーカーは、購買コストが1年もたたないうちに製品の原価の40%~70%に増加していることを発見し、次のような対処を行なった。つまり、アメリカおよび日本の資材業者から、より多くの購入依存を行ない、仕掛在庫を削減するため自社の資材管理システムを改良し、かつ購買部門に電算機に関する知識とスキルを持った人間および外国語のスキルを持った人間を加えることが必要となったのである。
□ 日本の鉄鋼業においては、例えばブラジルのような非常に遠い国々の原料供給業者と長期的な特約契約、例えば1988年まで長期契約を結び、原料供給の安定化をはかるとともに、日本の主な競争相手であるアメリカおよびヨーロッパの競争企業に比べ、18%もの安いコストを確保することに成功した。
□ ヘキスト(ドイツの石油化学大企業)は、クウェートとの関係を強化したし、デュポンは、最近、新買収戦略の一環としてコノコ社の買収を行なった。このことは、他の化学会社、例えばアメリカのダウ・ケミカルやヨーロッパのBASFがかつて優位点としていたような供給網の長期的な安定政策をとるということを意味している。
□ カボット社はクロム、バナジュウム、ニオビウム、チタニウムおよび他の貴金属類の増大する不足に直面し、専門的な鉱物資源部門を設立することを決定した。その部門の役割は、企業全体の資材供給マーケット戦略をねり、新しい方向を見出すことにある。具体的には鉱石の購買から1次金属材料製造のジョイント・ベンチャーをスタートすることまでも含まれている。カボット社は、また、ロンドンにある商社を買いとり、現存の購買部門のスキルを補足し、ロンドンの金属市場、貴金属市場における取引を可能にするため、特別な貿易技能を補足することとなった。



