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すぐれたマネジャー――すなわち部下から最適者をひき出し、自分たちの組織に好結果をもたらす人――は企業成功のカギである。そこで、何がすぐれたマネジャーを動機づけているのか、どういうふうに述べれば彼の特徴を客観的に評定し、明らかにできるかについて、いままで多くの研究や考え方が試みられてきたのも不思議ではない。
本稿で著者たちは、実証的研究から明らかにされた多数のすぐれたマネジャーの動機パターンについて述べている。すぐれたマネジャーは、個人的な勢力拡大要求、あるいは部下とうまく折り合っていきたいといった要求よりも、むしろ組織全体の利益のために他人の行動に影響を及ぼしたいという要求で動機づけられているのである。換言すると、すぐれたマネジャーはパワー(力)を求めているのである。しかしながら、パワーはそれ自体では権威主義になるから、円熟や高度の自己統制によって和らげられる必要がある。ワークショップは、自分がすぐれたマネジャーであるための適正な動機のプロフィールをもっているかどうかをマネジャーに気づかせるうえで助けになる、と著者たちは主張している。
マネジャーが適正なプロフィールをもっているとすれば、もっていない場合ですら、ワークショップはいっそうすぐれた、よいマネジャーになるよう彼を援助することができる。
すぐれたマネジャーを動機づけているものは何であろうか。この問題は非常に広範な問題なので、これに答えようとする者はみな、どこから始めたらよいのか分からなくて苦労する。ある人たちは、おそらくこう言うだろう。すなわち、すぐれたマネジャーとは、成功している人であると。今までのところ、多くのビジネスリサーチャーやビジネスマンたち自身は、自営の小企業を成功裏に経営している人たちを動機づけているものが何であるかについて知っている。彼らの成功のカギは、心理学者たちが"達成要求"と呼んでいるもの、すなわち何かをよりよくやりたいとか、前よりもっと能率よくやりたいといった願望であるということが分かってきている。自ら成功をかちとるためには、達成動機がいかに必要かを明らかにした諸研究が、いくつかの本や論文にまとめられている(1)。
それでは達成動機はすぐれたマネジメントとどんな関係をもっているのだろうか。よりいっそう能率的でありたいという強い要求をもつ人が、すぐれたマネジャーになるはずだという理論的根拠は何もない。それにもかかわらず、心理学者が達成動機を定義したり、測ったりしているような意味での達成要求をすぐれたマネジャーたちはだれもがもっているべきだということになりそうだが、そうした達成要求は必ずしも、すぐれたマネジメントを生みださないような、きわめて特殊な行動をとらせるようになる。
第1に、達成に動機づけられている人は個人的な進歩や、物事を自分でうまくやることに関心があるので、彼らは万事自分でやりたいと思っている。第2に、達成に動機づけられている人は自分たちの業績に関する具体的で迅速なフィードバックを欲しがっている。それによって自分がどのくらいうまくやっているかを知ることができるからである。しかし、マネジャー、特に大規模で複雑な組織のなかのマネジャーは、成功に必要なすべての課題をひとりで解決することなど、とうていできない。マネジャーはその組織にとって、ためになることをするような他人を動かさなければならない。部下の業績に関するフィードバックにしても、彼がすべてを自分でやっている場合に比べると、隔靴搔痒の感を禁じえず、しかも遅いものになるだろう。
マネジャーの仕事というものは、物事を自分で大変よくやるような人物よりも他人に影響力をもつ人物のほうをより必要としている。動機づけの点からは、成功しているマネジャーは達成要求よりもパワー要求のほうをいっそう多くもっていると予想できよう。とはいうものの、すぐれたマネジャーの特性には、パワー要求以外に他の諸特性ももちろんある。これらの諸特性がどんなものであり、どんな相互関係がそこにあるのかという問題が本稿の主題なのである。
すぐれたマネジャーと劣ったマネジャーの動機を評価するために、われわれはマネジャーの管理効果を向上させるべく計画されたワークショップに参加した、米国のいろんな大会社の多数のマネジャーを調査した。
この研究からひき出された一般的な結論は、会社のトップマネジャーは高いパワー要求、すなわち人に影響を与えることへの関心をもたねばならないということである。しかしながら、こうした要求はマネジャーの個人的な勢力拡大にではなくて、その会社全体の利益に向けられるように訓練され、統制されねばならない。そして、それ以上に、トップマネジャーではパワーに対する要求が、人に好かれたいという要求よりも大きくなければならない。
さて、われわれはこういう考えが、現実の状況下にある現実の個人というワク組みのなかでは、何を意味するかを考えてみよう。そしてすぐれたマネジャーのプロフィールを構成しているものを調べてみよう。最後にわれわれはワークショップがどのようにして行動を変容させるのかを明らかにするために、ワークショップ自体についてみてみよう。



