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例えば出生率の大幅な低下により、ベビーフードの売上げが減り始めたらその企業はどうするだろうか。新しい、しかし関係のない会社を買収するだろうか。あるいはみじめに店じまいの計画をたてるのだろうか。
本稿の著者によれば、そのどちらの選択も必要ではない。世の中の動きは個別ブランド方式から遠ざかり、それに代わって商品群作戦に向かっているように見えると彼はいう。もっとも、これまでのところ、商品群作戦は計画的というよりは偶発的に現われてきたようである。関連商品を開発すること、そしてすでに地位を確立し広く通用しているブランドを利用することで、企業は成長を求める投資家に応えることができる。著者は、個別ブランド方式と商品群方式とを比較し、まず前者の問題点について論じ、つづいて、より効率的で総合化されたマーケティング活動によって、商品群作戦がそれらの問題点をいかに克服できるかを示す。
過去25年間、高度に洗練された個別ブランド作戦が発展して、消費財分野に大きな影響を及ぼしてきた。プロクター・アンド・ギャンブル社、コルゲート社、ゼネラル・フーヅ社など、包装商品の会社が効果的な営業方式の先達と目されてきた。その個別ブランド作戦は包装消費財からかけ離れた業界にまで模倣されてきたのである。
しかし最近の傾向は、個別ブランド作戦優位の時代が終わりに近づいていることを示している。複雑で、競争の激しい企業環境に対応する新方式として、商品群作戦がこれまでの個別ブランド方式にとって代わろうとしている。
しかし商品群作戦はまだ揺籃期にあるので、これまでのところそれを実行したほとんどの場合、慎重に計画された戦略に基づくものではなく、むしろ偶発的なものでしかない。それでもいくつかの大会社の場合、個別ブランド作戦から商品群作戦への戦略転換はうまくいっている。
商品群作戦の利点を述べる前に、個別ブランド作戦の特徴を要約しておいたほうがよいだろう。個別ブランド作戦は単純な考え方に基づいている。形式、大きさ、香り等がまったく同じでないにしても、"ブランド"は通常、1つの商品を示す。製品系列のなかに似通った品種があったとしても、営業活動はたいてい"ブランド"ごとに独立しており、ときには社内で競合することさえある。プロクター・アンド・ギャンブル社のタイドや、ゼネラル・フーヅ社のゲインズバーガーがその例である。狙い定めた宣伝と販売活動がこれらのブランドを支え、国内・国外の競争市場で消費者に認められ、受け入れられているのである。
これらの製品に対する営業努力はブランド・グループが握るのであるが、このグループは自分のブランドの売上げや利益以外のことはほとんど考えていない。このグループを率いるのはプロダクト・マネジャーか、大ブランドの場合はグループ・プロダクト・マネジャーである。もっと上位の管理者は、社内競合の行過ぎを抑えるのに必要な調整をする責任がある。
これまでのところ、個別ブランド作戦は多くの会社で在来の商品にも新製品にも、あまりにもうまくいっていたので、包装商品の営業について他の方式は存在しないのも同然であった。しかし、次のような例は従来の個別ブランド作戦の考え方からはみ出してしまう。
□ ウェルシュ・フーヅ社(以前のウェルシュ・グレープジュース社)は主に冷凍品とビン詰ジュースを販売していたが、最近商品分野を拡大して粉末飲料、チルドグレープ飲料、グレープ・ソーダ、クランベリー(つるこけもも)製品数種や、プルーンのジュースまで始めた。
□ 冷凍パン菓子業界の雄、サラ・リー社は冷凍肉料理を始めたが、同社のスポークスマンによると、これは「調理済食品のコーナーのなかの冷凍食品のケースをサラ・リーの製品で一杯にする」活動によるものだそうである。また彼は「従来の強い製品系列がなかったら新製品は発売できなかった」とも語っている(1)。



