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新しい情報技術に取り組むときには、トップ経営者は、その技術のユーザーにどの程度の統制を加えるのが望ましいか、また中央の情報中枢に依存する面をどの程度残しておくべきかを決断しなければならない。コンピュータ、遠隔通信、ワードプロセッサーを企業が利用する場合には、もともと分離したものである、これら新しい技術を結合するための策を講じることが必要となる。
これに加えて、一般にどの企業においても、1つ1つの技術についての経験が同一レベルにはないという事実が大きな課題となる。しかも、この"新世界"を統治しようとするものは、統制と効率を維持しながら革新をも促進しなければならないという、複雑な課題に直面することも明らかにされる。
本稿は、情報システムに関する3部作の第3回目の論稿である。第1回目、第2回目の論稿は、"The Information Archipelago-Maps and Bridges"、("分散した情報群島―その地図と架橋"、DHB1983年2月号)、"The Information Archipelago-Plotting a course"としてそれぞれHBRの1982年9-10月号、1983年1-2月号に発表されている。
情報サービス業務の将来の姿は、中央の中枢装置と、遠隔通信によってそれと結合された端末装置とをもつものとなるであろう。その際、端末装置は自己の拡張データ・ファイルと処理能力をもつ場合と、これらをもたない場合のいずれもが考えられる。中枢装置と端末のそれぞれで行なわれる作業のバランスは、企業によってそれぞれ異なる。このような姿にまで自社の情報システムを発展させるためには、少なくとも経営政策レベルにおいて、コンピュータ、遠隔通信、ワードプロセッサーの分離された各技術を統合していくことが必要であろう。
この発展の過程において、企業は、複数のシステムが混合したものを同時に管理、運営することになる。そのなかには、バッチ・データ処理など経験豊富なものと電子メールなど未経験のものが含まれている。新しいシステムは、従来の技術の単なる延長上にあるものを管理するのとは異なった管理構造を必要とする。企業は、成熟度の高いシステムの統制と効率に注意を集中する一方で、新しいシステムにおいては、情報システム・スペシャリストとユーザーの両者による革新を促進しなければならない。
1980年代における情報サービス(IS)の展開のための政策形成に際して、マネジャーは2つの大きなコンフリクトに対処しなければならない。
1つは、革新と統制との間の緊張関係を含むものである。ある特定の企業が革新と統制のどちらにどれだけ強く傾くかは、当該技術に関してこの企業がおかれている発展段階に依存する。
新システム利用の初期段階にある企業は、そのシステムの運用について習熟しながら、システムと企業組織とのかかわり方を探索していかなければならない。初期段階において積極的革新を企業がどの程度重視するかは、企業戦略におけるIS技術の役割、リスク負担に対する企業の態度、当該組織におけるISポートフォリオの状態によって大きく左右される。発展段階が進めば、新システムの導入を効率的に行なうことに重点がおかれる。
第2のコンフリクトは、新技術の取扱い方法の開発とプライオリティの設定の際に生じるIS部門とユーザーとの間のそれである。ユーザーは一般に、秩序だった長期的展開を犠牲にして短期的ニーズに合致すれば、こと足れりとする傾向が強い。これに対して、IS部門は、当該技術をマスターし、ユーザーの正当なニーズへの迅速な対応を犠牲にしても、開発計画を確立することに心を奪われる傾向にある。
これら2つのグループの役割を効果的にバランスさせることは、やっかいで困難な課題であり、そのためには、企業文化、戦略に対するIS技術の潜在的影響、組織構造、地理的状況などの要因を考慮することが必要である。どちらのグループが優位に立っても、適用業務ポートフォリオや運用に関する極めて多様な問題が発生する(表は、IS部門とユーザーそれぞれが優位に立った場合の結果と、その意味の一部を示したものである)。さらに両者のバランスは時間の経過とともに変化していくべきものと考えられる。



