品質の優れた海外製品からの挑戦を受けて立つことは、どのような製造組織にとってもその実力を向上させる最善の方法の1つであり、単に海外との競争に立ち向かえるだけの品質向上を果たすという直接的な効果だけでなく、それをはるかに上回る大きな収穫をもたらすものである。このチャレンジに公正に対処するには、品質と製品性能を決定する諸要因について充分な理解が必要とされる。

 本稿において筆者たちは、品質向上の鍵を握るいくつかの大きな問題領域を明らかにし、世界的水準を達成する移行期においてマネジャーが直面する重要な問題を論じ、そして採るべきいくつかの行動の方向を提案する。これらの品質強化手法は、現実に海外からの競争にさらされている業界で活動する製造企業だけでなく、まだその脅威を感じていない企業にも同様にあてはまることは明らかである。

 海外からの競争にさらされている多くのアメリカのメーカーは、いま、品質および製品の性能に関する新しい、世界的基準に適合するだけでなく、これを凌駕する品質の達成を迫られている。多くの外国企業は、製品の設計からその流通に至るまで、優れた製造体系の基本をすでにマスターしており、いまや定評あるアメリカ企業すらも乗り越えつつある。

 アメリカの製造企業が世界的レベルの品質基準を達成するために実際的な行動を起こす方策がないわけではない。しかし、これらの実効的アプローチを分析するに先立って、性能向上に関する3つの誤解をまず明らかにしてみよう。

1. 品質と性能に関する目標の引上げはコスト増大をもたらす。

 あるアメリカの多国籍企業は最近、工程管理と早期欠陥防止に集中的に取り組むことにより、5つの工場で不良率を15%から5%以下に改善することに成功し、同時に最終製品の品質を5倍も向上させることができた。品質の点で業界のリーダーを目指したこの2ヵ年計画は成功裡に終わり、しかも結果として顕著なコスト節減をもたらした。

 内外を問わず、実力のあるメーカーは、製造プロセス全般について完全に理解したうえで、品質向上に熱心に取り組むことにより、不良品、再加工、定常検査、現場コスト、保証面での損失といったものを、目に見えて減らせることを経験から学びとっている。

 要するに、品質および性能目標の引上げは、必ずしも高コストをもたらすわけではない。

2. 品質上の優位は大幅かつ広範なものでなければならない。

 日本の自動車メーカーはアメリカ市場で相当のシェアを占めることに成功したが、これは主としてその製品の高品質が消費者に認められたためである。日本車の品質上の優位は、基本的には快適性と仕上げにあり、一方保証の点では著しい省略が見られる。品質問題のうち、安全性、耐久性、あるいは防錆性については、アメリカのメーカーは依然として優位を保っている。しかし、消費者というものは、一般に品質上明快な利点を持った製品を好むものであり、すべてのファクターを比較対照するわけではない。