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こんにち、メーカーの現役のマーケティング担当役員で、特定の状況に対処するために、プロダクト・マネジャーをおくべきか、マーケット・マネジャーをおくべきかという問題について、頭を悩ませる必要のなかった人があるだろうか。
製品系列が拡大し、その製品系列に対する市場が急速に拡大増殖している場合、どの管理手法をとるのが、もっとも適切であるかを決定するにあたって、過去の歴史のなかで確立されたルールを適用することは、もはやできない。このように、多種類の製品が多数の市場に流れこむといった状況のもとでは、メーカーのマーケティング担当役員の直面するジレンマは、深刻なものである。
著者の説くところによれば、解決の道は、プロダクト・マネジャーとマーケット・マネジャーの両方を使って、市場の変転するニーズに応えるという、2元的管理概念を採用することであるという。
会社は、新しい製品や市場の分野に業務を拡大するにつれ、その分野に生起する新たな複雑さに対処するために、組織を変更してきている。過去10年の間、会社は、プロダクト・マネジャーとマーケット・マネジャーのいずれか一方をスタッフに加えることによって、製品と市場の成長に対処してきたのである。
この両ポジションは、製品と市場のいろいろなセグメントについて、必要な市場志向を付与し、しっかりした計画が確実に立てられるようにするためにつくりだされたものであり、しかも、業界で広く使われ、うまくいってきたのである。そして、両者の目的とするところは常に同じである。すなわち、全社的に必ず行なわれる計画、決定、実施が、市場の変転するニーズに効果的に適合するように確実な手が打たれるようにして、製品と市場に関する業務の、商売としての健全性を守るということである(1)。
とはいうものの、そのポジションの重要さ、適切さは会社によって異なっている。従来、プロダクト・マネジャーは、会社が、多品種の製品を同じ流通経路を通じてかつ同じ顧客グループを対象として、共通の市場に流す場合に使われてきた。
それに対し、マーケット・マネジャーは、逆の状況、すなわち、会社が単一の製品系列に対して異なった市場を開発する必要がある場合に使われている。この場合、市場へ製品をもってゆくということよりも、市場を開発するということに焦点をおくのが第1の目的であり、マーケット・マネジャーが、この焦点を結ぶ役割として使われてきたのである。
この2つのポジションは、いずれも、製品・市場の重要なセグメント1つひとつを成長発展させようとする計画に関し、1人の人間がフルタイムで、責任を負う体制を確立するために構想されたものであった。会社が、単一の市場に集中してゆく一連の製品群を有している、あるいは、いくつかの市場に流れてゆく単一の製品系列を有しているという、いずれかのケースであるかぎり、プロダクト・マネジャーあるいはマーケット・マネジャーが1人いれば、この責任を果たすことができる。それは、図1-Aと図1-Bに示されるように、このように単純な製品・市場条件の下では、1人のマネジャーが負うべき責任範囲を明確に区切ることが比較的容易だからである。
しかし、多くのメーカー(その数はさらに増加しつつある)において、製品・市場の拡大増殖がひじょうに進んだために、多くのメーカーが多種製品を多種市場に販売するようになっている。こうなると、図1-Cに示すように、製品と市場がきちんと対応する場合はほとんどなく、むしろ、製品と市場の交錯が起こり、計画と管理の複雑さは飛躍的に高まることになる。




