(左から)PwC Japanグループ AI Factory PwCコンサルティング マネージャー 中島義耀氏、PwC Japanグループ チーフ・AI・オフィサー PwCコンサルティング パートナー 藤川琢哉氏、PwC Japanグループ AI Factory PwCコンサルティング シニアアソシエイト 隅本晋太朗
サマリー:「AIを使う時代」から「AIに任せる時代」への転換が必然となる中、「どこまでAIに任せるか」は切実なテーマだ。そうした時代の変化を見据えてPwC Japanグループが取り組むリスクガバナンスアーキテクチャの構築とは。

ビジネスにおけるAI活用が進展する中で、「どこまでAIに任せるか」は切実なテーマだ。AIによる実行結果のレビューに辟易しているユーザーもいるかもしれない。いま必要なのは、「AIを使う時代」から「AIに任せる時代」への転換だ。そのためには、自律的にビジネスを運営するAIエージェントの進化が不可欠であり、同時にリスクマネジメントの観点が極めて重要となる。PwC JapanグループはAIに任せる時代を見据え、リスクガバナンスアーキテクチャの構築に取り組んでいる。

静的なリスクマネジメントから動的なリスクマネジメントへ

 企業のAI活用が急速に拡大する中、「AIを組み込んだ業務」に対するガバナンスのあり方が、以前にも増して問われるようになった。

 よく出てくるキーワードが“Human in the Loop”。AIに任せきるのではなく、必要に応じて人が関与するという考え方である。ただし、頻繁に人の判断が求められるようでは、業務プロセスは渋滞する。AIが数分で出力した内容を、人が数十分かけて確認していては、生産性向上は期待できない。

「どこまでAIに任せるか、どのような時に人が関与すべきか。その境界を見極める必要があります。また、今後はAIに任せる領域が拡大し、やがてはAIがビジネスを回す時代が来るでしょう。『AIを使う時代』から『AIに任せる時代』への転換は、目前に迫っています」と語るのは、PwC Japanグループ チーフ・AI・オフィサーの藤川琢哉氏だ。

「AIに任せるうえで重要なのが『トラスト』。人間がつくったルールや人間の承認に頼らずとも、AI自身が信頼に足るプロセスを回せる仕組みづくりが必要です。私たちはAIが自律的にビジネスを動かす時代に向けて、『Autonomous Industrial Twin』の構築を進めています」

 AIによる自律的なビジネス運営に欠かすことのできないガバナンスや監督を、Autonomous Industrial Twinは機能として実装する。その中核にあるのがリスクマネジメント機能だ。

「これまで一般的だったのは、ルールに基づく静的・固定的なリスクマネジメントです。チェック項目をすべて満たさなければ前に進めないやり方は、AIに任せる時代に適合しているとはいえません。私たちが目指すリスクマネジメントは動的なコントロール。状況に応じてそのつどリスクを分析・評価・予測し、AIが自律的に判断してプロセスをコントロールする世界です」と藤川氏。その実現に向け、同社は一つの実証実験をスタートさせた。その舞台が社内のAI経営店舗である。