「3線防御」の考え方に基づくリスクガバナンスアーキテクチャ

 AIが自律的に意思決定する範囲が拡大する中で、リスクマネジメントの重要性はいっそう高まる。その役割を担うのは、AI店長のようなビジネスを回すAIとは別のAIだ。法規制や社会通念などを踏まえて、自律的な意思決定をするAIの動きを監視し、問題の発生を未然に防ぐエージェントを想像してほしい。

「私たちは『3線防御』の考え方に基づき、リスクガバナンスのアーキテクチャを設計しています。リスク判断と事業推進を行う1線、経営方針や法規制からリスクコントロールを考える2線、客観的立場から監査を行う3線。これらをAIエージェントで高速に相互連携させ、リスクを受動的に抑制する対象から、経営判断に先行して組み込まれる動的な統制プロセスに進化させることを目指します」(藤川氏)

 PwC Japanグループは監査に加えて、税務や法務、リスク&ガバナンス、サイバーセキュリティなど多様なエキスパートを擁している。リスクガバナンスアーキテクチャの構築において、同グループの総合力が最大限に発揮される。

 今回は小売業に焦点を当てた実証実験だが、今後は製造業や金融、建設、医療など対象分野を広げていく方針だ。

「今後、Autonomous Industrial Twinをさまざまな産業分野に適用していきたい。私たちだけで完成できるとは思っていません。ユーザー企業、テクノロジー企業など多様なパートナーとともに共同研究を進めたい」と藤川氏。将来的にはロボティクスとの融合、フィジカルAIに任せるプロセスの確立も視野に入っているという。

 AIエージェントの普及は、今後急速に進展するだろう。将来有望な分野だけに、グローバル競争は激しい。

「多くのプレーヤーが技術を競っていますが、リスクマネジメントの観点でAIエージェント時代に向き合うプレーヤーは多くありません。AIに任せられる環境づくりを進めるうえでリスクマネジメントは不可欠。大きなチャレンジですが、私たちならやりきれると思っています」と中島氏。AIに任せる時代へのシフトを牽引することで、PwC Japanグループは社会に新たな価値を提供したいと考えている。

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