概念としての業界むけプロモーションは、完全に理解されている。消費財メーカーは、卸売業者や小売業者に値引き販売を認めることによって特価品ディスプレイを行なわせ、それによって自社製品の売上げを伸ばそうとする。だが、こうしたディール(右段注参照)は、ややもするとメーカーと業界の両方から濫用されがちになる。

 まずディールは、管理者によって売上げと利益をふやすための標的とみなされることが多く、その結果、全社的なマーケティング戦略のなかにおけるプロモーションの役割は忘れられがちになる。たいていの場合、ディールは短期的に販売実績を上げるために用いられるが、そのおかげで長期計画が犠牲になってしまう。プロモーションを濫用しすぎると、マーケティングのインパクトを弱めてしまう危険性がある。

 業界むけプロモーション関連費用の急上昇には、多くのメーカーが悩んでいて、次第にこのマーケティング活動に警戒の目を向け始めた。最近になってメーカーは、プロモーションを減らしたりやめたりするのは、いうはやすく行なうは難しということに気づいている。著者の主張によれば、メーカーは業界むけプロモーションを戦術的な観点からだけではなく、戦略的な立場からも見て、市場の展開に応じた個別計画をつくる必要があるという。

 業界むけプロモーションは、互助的なマーケティング活動でなければならない。メーカーは一時的な値引きという形でプロモーション、あるいは各種のディール(訳注:メーカーが卸売業者や小売店に特定製品の販売促進をしてもらうために行なう各種協定取引きの総称)を大々的に行ない、それを刺激として小売業者や卸売業者に、仕入態勢の強化や在庫の増加を求める。業者はこの値下げを消費者に広告宣伝し、今度は消費者に購入を促すという仕組みである。この流れに従うものは、だれでも利益を得られることになっている。

 ところが最近、まったくといってよいほど計画どおりにことが運ばなくなってきた。メーカーは業界むけプロモーション関連のコスト上昇が激しいうえに、特別な店内ディスプレイ、特価販売広告の告知、協定どおりの消費者価格値引きといった約束を小売業者や卸売業者が果たしてくれないと苦情をいう。業者のほうではメーカーがそんなことを期待するのは間違っていると文句をいう。協力は摩擦に代わってしまったのだ。以下において紹介する調査結果にも、業界むけプロモーションにかかわる問題の性質が示唆されている。

□ 1981年に行なわれたチェーン・ストア・エイジ誌の調査結果によれば、小売店の76.4%はプロモーションの提供が前年よりもふえたと答え、22.2%はディールが減ったと答えている(1)。

□ 包装された消費財メーカー65社の管理者に対して行なわれた年次調査によると、1980年の平均マーケティング予算額の40%は広告に、35%は業界むけプロモーションに、25%は消費者プロモーションのために支出された(2)。このように、業界むけプロモーションはマーケティング費用のなかの大きな部分を占めている。

□ 1981年のプログレッシブ・グローサー誌の調査に対する回答のなかで、包装された消費者財メーカーのライン管理者は、もっとも重要な問題のリストの2番目と4番目に、業界むけプロモーション活動の総件数とその頻度とをあげている。これに対して小売業のライン管理者は、この2つをそれぞれ30位と27位にしか評価していない(3)。このことは、この2種類の管理者グループの反応が著しく異なっていることを示唆している。

□ 1981年のある調査結果によれば、大手の包装された消費財メーカーのマーケティング・サービス担当マネジャーは、直面するもっとも大きな課題として「効果的な業界むけおよび消費者プロモーション」を、ほかのどんな問題よりも多数指摘している(4)。

 この研究は、業界むけプロモーション計画の効率性と企画を改善する方法を検討しようとするものである。分析と結論の大部分は、1981年から1982年にかけて行なった、およそ30人のラインのマーケティング管理者と販売促進の専門家に対する面接調査の結果に基づいている。本稿は、食料品・健康美容商品・半耐久商品(家具・衣服など)のメーカーに対する展望という立場から記述しているが、他の消費者財メーカーにも当てはまることは明らかである。