ご存知のように、多くの産業では利益が低下し、人員整理や工場閉鎖をよぎなくされている。といって、すべての製造業でスペースが不要になってきているわけではない。例えば、ハイテクノロジー産業や防衛産業などでは、建物が手狭になり、むしろ拡張を迫られている。

 新しいプラントの計画が練られる一方で、つつましい経営者たちは廃棄されたビルの再利用に目を向け始めている。これらの経営者は、古い工場からの還元によって、少ない費用でより多くのものが得られることを確信している。

 多くの場合、実際にこれは最も健全な投資である。なぜならば、古い施設を再利用することにより、用地の買収や整地などが必要なく、また電気、水道、下水道を新たに引く必要もないからである。また、道路や鉄道などのネットワークの整備や従業員の転居や機械設備類の移動なども必要ない。古い工場を一新するための単位当たりの費用は、今日新しいビルを建てる費用の10分の1ぐらいで済むといわれている。

 本稿では、古い工場の再利用についての長所、および問題点について話を進める。

 古い工場を再利用しようとする経営者たちは、そのような投資がはたして新しいビルへの投資と同じ効果をあげ得るかどうかについて、まず考えられる種々の疑問点を明らかにする必要がある。

 2800万スクエア・フィートにもおよぶ工業施設と地図にも載っていない大きな空工場をもつミシガン州では、古い工場の再生と新しい利用についての関心が高まってきている。この問題はミシガン州だけに限らず、中西部から北東部にかけても重要な課題となっている。古い工場の再利用については、見込まれる生産性のレベルや最新の設備の収容能力について問題があるが、新しく建てるよりはずっと安価であるということは明らかである。この旧工場を一新するための単位当たりの費用は新築に比べ約10分の1ですむ。

 ミシガン大学では、この古い工場の再利用について、1年以上前から共同研究が行なわれている。この研究は米国商務省および地域の配電に関心をもつデトロイト・エジソンからの資金でまかなわれている。

 この私たちの計画が始まる少し前に、ミシガン州ハムトラックにあるクライスラーのダッジ工場が閉鎖されるという発表があり、それを契機に空き工場をどのようにするかについての問題がクローズ・アップされた。私たち専門家も、自然採光を考慮した1900年代の不恰好な6階建ての構造をもつ、さびついた鉄のカーテンウォールにつつまれたコンクリート建造物の再利用の可能性について意見を聞かれた。

 その構造のまま再利用するとすれば、3万人から3万5000人ぐらいの学生を収容する大学の校舎としてか、2500~5000軒のブティックが建ちならぶサンフランシスコのグリーデル・スクエアのようなものにすることができた。しかし、これらのオプションはともに問題外である。特にブティックについては、工業地域であり、郊外は住宅地域であるハムトラックには全く不適である。この不況でデトロイトのファッションの中心街、ルネッサンス・センターにおいてすら、ブティックの経営は困難になってきている。

 このダッジ工場が閉鎖されたのは、自動車が売れなくなったこと、最新の車のボデーやフレームをそのような構造の工場では効率的に組み立てることができなくなったこと、および工場そのものの修理が必要になったことなどの理由による。そのなかでも1番目の問題は、明らかに致命的であった。