中小企業のオーナーのなかには、15時間も働きづめで仕事をするオーナーもいれば、業務をうまく抜け出すことができるオーナーもいれば、事業をうまく切り盛りしながら政界にうって出るオーナーもいる。また、これといった公式なシステムや全社戦略を持たずに、会社を経営するオーナーもいれば、その必要上、そうしたことに注意を傾注せざるをえないオーナーもいる。こうした違いはどうして生ずるのだろうか。

 企業の所有形態や財務状態は、もちろん重要だが、企業規模・事業の多様性・組織の複雑性・経営スタイル・組織目標といったふだん軽視されがちな要因もまた重要である。著者は、これらの点をふまえて、中小企業が成長過程でたどる5段階の枠組を組みたてている。

 その5段階を成立(Existence)・生存(Survival)・成功(Success)・離陸(Take off)・資源成熟(Resource maturity)と名付けている。オーナーは、現在の自社の経営がどの段階にあるかを評価できれば、本稿の枠組を活用して当面する問題をもっとよく理解し、また将来の挑戦課題を展望できる。

 中小企業が持つ問題や成長パターンを、企業家にとって有益な系統的な方法で分類することは、一見すると気の遠くなる作業である。中小企業は、規模も成長への受容力もまちまちである。例えば、経営の自立度・組織構造の変化・経営スタイルの多様性がまちまちである。

 それにもかかわらず、細かく検討すると、企業はその発展の同一段階で共通な問題を経験することが明らかになる。こうした共通点は、枠組を構成し、企業が有する性格・特徴・問題点を理解するうえでの一助となる。ここでいう企業とは、下は最低賃金で働く2~3人の店員しかいない街角のドライ・クリーニング店から、上は年平均40%の成長率を持つ年商2000万ドルのコンピュータ・ソフトウェアの会社まで及んでいる。

 中小企業のオーナーと経営者にとって、この考え方は、現在の挑戦課題を評価するうえで参考になるはずである。その例は、既存のコンピュータ・システムを改良する場合や、計画された成長を維持するために二流の経営者を雇用したり、社内教育する必要性がある場合などである。

 それは多種多様な局面で重要な要件を予想する際に役立ちうる。例えば、創業期には、オーナーは過酷なまでに時間を拘束されるし、企業規模が増大し、内部組織が複雑になるにつれて、自らの経営者としての権限を委譲し、その役割を改める必要がある。

 この枠組は、現在と将来の政府の規制や政策が、自社の事業に対するインパクトを評価する際の基礎をも提供する。この格好の事例は、二重課税の対象からの配当金の除外である。すなわち、葬儀屋のように収益性が高く、成熟して安定している企業には非常に有利だが、急成長している新しい高度技術メーカーには全く有利にならないのである。

 最後に、本稿の枠組は、会計士やコンサルタントが中小企業の問題を診断し、それに固有な解決策を適合するうえで役立つ。30年の歴史があり、従業員100名のメーカーに対して会計士やコンサルタントが与える助言は、わずか6カ月前に設立された従業員20名の企業に固有な問題点の解決には、めったに役立つことはないだろう。この新しい小企業にとっては、キャッシュ・フロー計画が何よりも重要である。これとは対照的に、先の中企業にとっては、調整や日常業務管理を達成するための戦略計画と予算編成が最も必要である。

中小企業向けの枠組を開発

 何年にもわたって、多種多様な研究者が企業活動を解明するためのモデルを開発してきた(カコミ図1を参照)。それぞれのモデルは、企業規模をある一つの次元として活用し、企業の成熟度や成長段階を別の次元として活用している。こうした区別は、多くの点で有益であるが、少なくとも次の3つの理由で中小企業には不適当と思われる。