販売管理というテーマは、いくつもの部分に分けることができ、そのどれもが極めて重要だ。販売管理幹部の主な任務の1つは、この部分を全体として見きわめたうえで、その相互関係を把握することである。よくあることだが、1つないし1分野の活動が並みはずれて強くなると、必ず管理全体の目標があやふやになる。

 本稿は、人的販売、販売力の配置、顧客管理、販売管理の経済学などについてのいろいろな問題を分析、検討し、解決するための枠組みを述べたものである。

 本稿は、HBRリプリント・シリーズのために書きおろしたものであり、定期刊行のHBR誌には掲載していない。

 販売管理は、2つの部分に分けることができる。すなわち、1)販売計画の策定と、2)計画の実施である。第1の部分では、人的販売活動の目的を詳しく記述することが肝要だ。第2の部分とは、販売戦力を管理すること、つまり特定された目的を達成することである。販売幹部は、とかく後者を強調する。

 販売戦力の管理を重視したい気持は、分からないでもない。たいていの販売管理者は(たとえ、いまは全国販売担当マネジャーや販売担当副社長であろうとも)販売畑出身なので、自然にそういう見方になってしまう。この人たちは、「どうしたら、もっと販売部門を一致団結させて、多くの売上げを達成することができるだろうか」と自問することはあっても、「どうしたら、もっと多くの売上げと利益を生みだすことができるだろうか」とは、考えない。この連中にとって、セールスマンは問題のなかでいちばんよく目に見える、肝心の部分なのだ。販売管理者には、売上げと利益が、セールスマンからでなく顧客から生まれるものであり、販売戦力の管理は究極の目的ではなくて、そのための手段にすぎないということが忘れられている。目的は、販売計画を通じて顧客を管理することであって、販売部門はこの計画を実施するためのものなのである。

 このように重点のおき方を誤ると、その影響ははなはだ大きい。売上げ減少とかマーケットシェア低下というような問題にぶつかると、販売管理者はすぐ販売戦力を管理する手段を変更しようとするが、販売部門の目的にまでは、考えが及ばない。例えば、報酬体系の手直しなどがそうだが、これは販売力管理のなかでいちばんよく話題にのぼるものであり、すぐにも変更可能なものなのである。今日のような環境のなかで見られる典型的な傾向としては、ボーナスや手数料を多くして、基本給を下げるということになるだろう。そしてこのために、販売部門の収入が不安定になる(需要減退期には、えてして起こることだが)場合には、報奨金はもう結構だ、基本給をもっと上げてほしいという要求が、ただちにはねかえってくる。こうしたむだな努力はすべて、たいてい「売上げ増加のためには、セールスマンにもっと懸命に売らせることが必要」という仮説に基づいて生まれる。焦点はセールスマンにあって、顧客にはないのだ。

 報酬体系をさんざんいじくりまわしたのち、おおかたの販売管理者は、新規募集と選考にすがろうとする。「そもそも最初から、もっとやる気のあるセールスマンを抱えていれば」と、マネジャーたちは考えるのである。「こんな手のこんだ報酬体系なんか必要なかったんだ」。いっとき熱に浮かされたように、さまざまな試験と面接をくり返したあげく、ついに管理者たちは訓練してみようと決心(「セールスマンは、われわれの希望を理解しないし、ものの売り方を知らないんだ」)し、やがてはコンテストや報償制度といった、他の刺激策を用いるようになっていくのである。

 このような努力すべてを通じて、販売過程における重要人物、すなわち得意先や見込み客は無視されがちだ。販売管理チームの究極の目的は得意先をつくり、妥当なコストで多くの売上げを達成することである。だから、販売管理者は、セオドア・レビットが「マーケティング近視眼(Marketing Myopia)」のなかでいみじくも主張したように、顧客と見込み客をもっと重視しなければならないのだ。

 ここで、販売計画策定における4つの重要な問題を摘出しておく。

 1. 会社のマーケティング戦略において、一般に人的販売はどのような役割を果たすべきか。