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顧客訪問の費用がどんどんかさんでいくので、生産財メーカーにはこのところ、系列色のない自営の問屋に頼って、営業活動の手助けをしてもらうところがふえてきた。しかし、問屋を使ってはみたが、売上が期待はずれでがっかりした、という経験をすることがほとんどである。メーカーは、問屋に問題があるのに、製品設計や価格が失敗の原因と決めつけて、事態を混乱させたりしている。実は問屋の選び方が間違っているのに、問屋の努力が不足と非難することもある。
こうした不満は避けられる、と著者は述べている。それには問屋という社外の者に販売させ、これを指揮監督するという仕事に、マーケティング・マネジャーはもっと真剣に取り組まなければならない。とりわけ、著者はマーケティング・マネジャーに生産財問屋を監督するという仕事を次の3つの内容に分けて考えよ、と勧めている。
1)製品を選んだうえで問屋に扱わせる
2)問屋を選ぶ
3)問屋の業績を評価する、である。
メーカーの販売員が直接顧客に売り込むと、1回の訪問に平均100ドルを超えるコストがかかるようになったので、主要な市場まで生産財問屋にまかせるメーカーがふえている。問屋というのは系列をもたない自営の企業で、たいていは4、5人ほどの販売員や補助者しか抱えていない。メーカーの販売員が、販売については会社を代表するという役割を担って歩合制で働いているのと違って、生産財問屋は扱い製品を買いとり、メーカーのパートナーとしての役割を担っている。
スリーM、ノートン、フィザー、ミード・ペーパーといった生産財の超大手になると、こうした問屋を通じて売上げの大部分をあげている。主として日本の複写機メーカーがしかけてくる競争に対抗するために、IBMとゼロックスも最近になって系列をもたない問屋を指定して、値のはらない複写機やタイプライターを販売させることにした。
しかし生産財を問屋を通じて販売するにはリスクが伴うし、簡単なことではない。これならいける、と期待のもてる製品を開発した名のよく通ったある生産財メーカーが、どういう事態に立ち至ったかをみてみよう。その製品を系列色のない問屋にゆだね、十分な在庫を準備し、問屋への供給を常に欠かさぬ態勢をとってから1年後、この会社は製品の売上げが芳しくないということに気づいた。これでは社長以下主脳陣ががっくりしたのも当然である。
「これはダメな製品なんだろうか」、「値を高くつけすぎたのかな」、「何か間違った売り方をしているのだろうか」、「問屋に問題があるのかな」など思い迷った。こういったことが的はずれというわけではない。おそらく、この製品にはこうした販売の仕方が適していないのだろう。あるいは選んだ問屋が、この製品の営業にはうってつけとはいえなかったのかもしれない。しかも、この会社も、多くの会社と同じように、問屋経由の販売の過程を監督する者をおかなかったのかもしれない。この監督の責任は、理屈をいえば、マーケティングまたは販売担当の経営者にあるといっても、実務面では細かく分散され、誰も気にかけなくなってしまいがちなのである。
問屋を選んで利用する際に、メーカーがおかす誤りは、多くは避けられるものだし、是正できるものでもある。販売を生産財問屋に大いにゆだねていきたいと考えるのなら、まず第1に製品がそういった販売方法に向いているのか、ということをはっきりさせなければならない。そうだとなったら、次にこれに最適の問屋をえりすぐらなければならない。そして、もう1つ、問屋の業績を評価できるようにしておく必要がある。
製品を間違えていないか
系列をもたない自営の問屋に扱わせるのに向いている製品というのは、次の特徴を備えたものである。
1. 広汎な顧客に売れる見込みがある ごく少数の顧客しか関心を示さないような製品の販売では、問屋はメーカーほどには手際のよい仕事はできない。それなのにメーカーは顧客の要求に合わせた特別あつらえの製品を、問屋の扱い品目に加えてしまうことが多い。例えば、顧客の要求に合わせて作った金属とゴムの特殊パッキングを問屋に扱わせたことがあるが、新しい得意先は事実上、1軒もふやせなかった。数年もたってはっきりしたのだが、問屋は最初メーカーの販売員が開拓した得意先からでてくる継続注文をとっているだけだった。標準品で間に合う顧客層が広いほど、問屋の網の目を作り上げる必要は大きいのである。



