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トップ経営者やマーケティング関係者なら、次に述べるような、せっぱつまった状況を、何度か体験しているはずだ。
競争相手の会社が、ある新製品を発売した。自社も大急ぎで新製品を発売して、これに対抗すべしと、社内が浮足立っている。社内の大多数の人びとが推薦している新製品ではあるが、必ず失敗するにちがいないと自分は考える。しかしこんなことを発言したら、弱気なやつだとまわりから思われはしまいかと思い悩む。あるいは、自社ブランドのネームバリューをもってすれば、成功間違いなしと自信をもって発売したのに、ネームバリューは役に立たなかった。
本稿の著者は、このような状況を"敵"――新製品成功の敵ときめつけている。企業はこの敵に、何回となく屈服している。また、テスト販売に耐えてぶじに生き抜く新製品は、あまりにも少ない。企業は、新製品の敵と、どのようにして戦い抜いたらよいのだろうか。
著者はまず初めに新製品の特性を列挙し、説明を加える。この特性は、新製品の失敗をくいとめ、成功をかちとるための有力な要件でありながら、経営者やマーケティング関係者に、とかく見過ごされてきた。つづいて、敵の身分と実力を明らかにする。
新製品の失敗は、実業界では、ごく当たりまえのことであり、とりたてて大騒ぎする人は少ない。次の単純な数字をみれば、なるほどとうなづける。テスト販売された新製品の70%は、本格発売がとりやめになる。つまり失敗と判定できる(1)。
それにしても、70%という失敗率はむしろ少なすぎる。なぜなら、全国発売されてから失敗に終わった例は、この数字には含まれていない。発売後1年以内で市場から撤退するとか、初期投資を償還もしないで、よたよた歩きをしている製品がこのほかにも、たくさんある。
キャンベル社のスープ、ガーバー社の離乳食、キャドベリー社のケーキなどは、英国に上陸してから長期間にわたって、よたよた歩きをしている好例である。
頭痛の種はこれだけではない。テスト販売にかかる前にだって、ばく大なエネルギーが"空回り"に費やされている。不得要領な製品アイデアに、研究開発時間の大部分が空費されたり、会社の利益になる新製品を作り出すことよりも、研究者個人がノーベル賞をもらうための研究に、精力が集中されている。
1966年に51の米国企業を対象に行なった調査によれば、新製品の形に最終的に結実したのは、取得した特許のわずか3%、開発研究時間の20%にすぎなかった(2)。
かくて、新製品開発という名の戦場は、マーケティング担当者にとって、明らかに負け戦の場である。この戦場におけるマーケティング担当者の主たる任務は、消費者の新しいニーズを探り出し、研究開発部門やその他、社内部門の支援を得ながら、これを利益製品に変換することにある。



