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これまでの常識では、マーケットシェアの低い会社は、いくらがんばっても、せいぜい必要最低限の利潤しか達成できない運命にあるのに対して、マーケットシェアのリーダーは、最高の投下資本利益率をあげることができる、とされている。もしこの常識が正しいとすれば、ほとんどの会社はとっくに清算されているだろう。
ところが、マーケットシェアは低くても多くの会社が生き長らえているばかりか、景気のよいところさえある。業績のよい低マーケットシェア企業は、一体どういう特性によって成功しているのだろうか。著者たちの主張するところによれば、成長が遅く、製品にあまり変化の生じない業界に所属する会社、購買頻度の高い品物を作っている会社が、低マーケットシェアでもよい業績が達成できる企業なのだという。そしてまた、特定の競争戦略(品質とコストに重点が置かれることが多い)に努力を集中する低マーケットシェア企業の業績がよい、というのである。
マーケットシェアの低い企業は、うまくゆくのだろうか。うまくゆくとしたら、それはどんな戦略をもった企業だろうか。本稿は、126社の調査データをもとにそうした疑問に答えようとしたものである。この126社のうち、40社はマーケットシェアが低いにもかかわらず、立派な業績をあげている。
戦略を立てる人びとは、高いマーケットシェアを獲得することに重点を置こうとするものだ。
ボストン・コンサルティング・グループのブルース・ヘンダースンの言によれば、「競争している企業においては、それ(マーケットシェア)が相対的な利益率を決定する。
そうならない場合はほとんどといってよいくらい、原因は関連製品の市場の定義づけが誤っているか、主たる製品の管理が間違っているかのどちらかだ(1)」という。
マサチューセッツ州ケンブリッジにある戦略計画研究所でデータ分析をもとに行なったある研究の結果は、「マーケットシェアに10%の差があれば、その結果、投下資本利益率には、およそ5%の格差が生じる(2)」というものであった。
高いマーケットシェアを確保すれば、企業には多くの場合、規模の経済性、ブランド名の支配力、部品製造業者・流通業者・顧客との取引き力の強化といったもろもろの利点が生まれる。
こうした事実の関係は、ともすると低いマーケットシェア企業には長期的に暗い見通ししかあり得ないという意味に解釈されることが多い。そこでアナリストたちは、通常、そのような会社には、もっとマーケットシェアを確保しなさいとか、市場の特定部分を独占できるように再編成しなさいといったような勧告をする。そして、いずれのアクションもとれないような低シェア企業なら、清算してしまったほうがましだと主張するのである。
だが、マーケットシェアで主導権のとれるような企業はほんの一握りしかないのだから、大半の会社は、この気のめいるような見通しを聞かされることになるだろう。



