経営者機能、手段、システムに関する通念と、実際のマネジャーのビヘイビアとの間にはかなり大きなギャップがある。前者は一般に、企画、管理、人事、組織、指揮などを含み、後者は、長時間勤務、断片的なエピソード、口コミなどを特色とする。実際のビヘイビアは、戦略的計画システム、MISあるいは組織のデザインなどの学徒の見方とは違っている。それは、システマティックよりむしろインフォーマル、思考的よりむしろ反応的、計画的よりむしろ場当たり的といった傾向が強い。

 両者のギャップは、多くの理由で重要な意味を持つと同時に、気がかりでもある。まず第一に、それは今日広く活用されている正規の企画、業績評価、その他のシステムについて、深刻な問題を提起する。同様に、それは経営者教育についても疑問を投げかける。経営者教育は一般に経営"理論"に重点をおき、毎年6万人以上のMBAの資格を持つ新人を社会に送り出している。さらに、このギャップは、幹部が若手のマネジャーを指導すると同時に、自身の能力向上を図ることをも困難にしている。

ある社長の1日

 まず最初に、ある投資管理会社の社長(マイケル・リチャードソン)の日課のなかで平均的とみられる、ある1日の仕事の内容を分きざみにリポートしてみたい。

A.M.
7:35 通勤時間わずかで出社、ブリーフケースから書類を取り出す。コーヒーを飲みながら日程表をつくる。

7:40 右隣の個室から彼の補佐役J. ブラドショーが入室。

7:45 両者はいくつかのテーマについて話し合う。リチャードソンは、ふと思いついたように最近、サマーハウスで撮った写真を彼に見せる。

8:00 両者はこの日のスケジュールと優先順位について相談する。その内容は、顧客関係やスタッフに関する10件以上のテーマや問題からなる。

8:20 部下のひとり、F. ウイルソンが入室、人事問題についていくつか質問し、それが終わると両者の討議に加わる。三者の会議は時折ユーモアを交えて、率直かつ迅速に進行する。

8:30 リチャードソンの上司F. ホーリイ会長が立ち寄り会議に加わる。彼はリチャードソンとの11時の約束についてたずね、他の問題を2、3とりあげる。

8:40 リチャードソンはコーヒーを取りに席を立つ。ブラドショー、ホーリイ、ウイルソンの三者は会議を続ける。

8:42 リチャードソンが席に戻る、部下の部員が立ち寄り挨拶する。他の三者は席を立つ。