上位5位に入ったら全員に65ドルを支給

 今日、アメリカ企業では、全社員に対して何らかのインセンティブを与えることが慣例となっている。

 プロフィット・シェアリング、社員持ち株制度、ボーナスなどその形態はさまざまだが、報奨の目指すところは、「会社の目標を達成するために社員の労働意欲をかき立てる」ことにある。

 ところが現実には、大企業の事例などから「全社員一律にインセンティブを与えても、思うような成果が上がらない」というのが通説となっている。その理由の一つは、エコノミストたちが「ただ乗り症候群」と呼ぶ問題にあることは間違いない。

 大きな組織では、一握りの人間だけががんばっても、全社的な実績に換算すると埋もれてしまう。その他の社員は、一握りの人間にただ乗りしているのだから事態は何も変わらない。また、どのような報奨も全員に与えられるのであれば、結果的に各人が受け取れる額は微々たるものになってしまう。

 だが、やり方次第では、インセンティブ・プログラムは効果を上げることができる。コンチネンタル航空(以下コンチネンタル)の事例を紹介しよう。

 1995年まで、コンチネンタルは、最も業績の悪い航空会社の一つだった。アメリカ国内の大手10社のなかで、「定刻どおりに到着しているか」と「手荷物の取り扱いはどうか」という項目での平均順位は最下位だった。しかも、「乗客からの苦情の多さ」では1位というありさまで、94年の同社の純損失は6億1300万ドルに達し、破産寸前の状況にまで至っていた。