元社員は将来の顧客である

 近年の人材獲得競争の煽りを受け、企業では、いわゆる「人的資産」のマネジメントに多くの時間が割かれるようになった。Aクラス人材を雇用し、維持することが、競争優位を築く最善策の一つであると気づいたからにほかならない。

 新規採用者や社員に取り入ろうと、関心を引いたり、報奨に訴えたりしている。その一方、もう一つの重要な人的資産、すなわち「元社員」の存在を忘れている。これは大きな損失である。

 プロフェッショナル・ファームでは、「元社員は将来の顧客である」と認識されており、昔からOBやOGを大切にしてきた。なかでもマッキンゼー・アンド・カンパニーが退職者のネットワーク構築に努めて投資してきたことはよく知られている。それは、元コンサルタントが順調にキャリアを積んでいけば、将来的には高額なコンサルティング・サービスの買い手になるだろうと見越してのことだ。

 ところが、このような専門性の高い企業以外では、退職者について再考されることはほとんどない。とはいえ、元社員を大切にする例外的な企業は存在する。IT(情報技術)企業のアジレント・テクノロジーズもその一つで、退職者との関係を管理するプログラムを導入している。

 このような企業は、元社員が元雇用主にさまざまなメリットを提供しうることを理解し始めている。つまり、元社員は、製品やサービスの買い手になりうる。実は、それだけに限らない。次のような利点もある。