コモディティの罠から逃れる

 たいていのマーケターが、「コモディティ」というたった一語に戦々恐々としている。

 石炭であれ、鶏肉であれ、メモリ・チップであれ、差別化に躍起になっているコモディティの売り手は、しばしば値下げに頼ってしまう。当然、事情通の買い手は、売り手と駆け引きして最大限の値引きを引き出す。

 たしかに、バンドリング(抱き合わせ販売)したり、トレーニングやコンサルティングなどのサービスを付加して価値を高めたりする一般的なマーケティング手法でも、コモディティに特色を与えることは可能だ。しかしこれらの戦略は、価格競争を回避させるとはいえ、コストを回収できないくらい高くつくかもしれない。

 実は、顧客のリスクを把握し、それを軽減してくれるサプライヤーには進んでプレミアム価格を払うことを、多くのコモディティの売り手がわかっていない。

リスク別に顧客をセグメントする

 ガス・パイプラインのキャパシティ(容量)を販売する、コンチネンタル・ガスという会社を想定してみよう。

 ガス小売企業やサプライヤーは、遠く離れたガス卸から地元の家庭や企業にガスを供給するためにパイプラインのキャパシティを購入する。これらの買い手のなかには、複数の都市にまたがって営業している企業もあるため、通常は多くのサプライヤーを入札させて最も安い価格のところと年間契約を結んでいる。長年の価格競争にあって、コンチネンタル・ガスはわずかな利ざやに甘んじてきた。