ライン・マネジャーにいかに気づきを与えるか

 顧客満足は、あらゆるサービス業の課題である。とりわけ急成長企業の場合、どうすれば事業の隅々に至るまで、高水準のサービスが一貫して維持できるのだろうか。

 我々エンタープライズ・レンタカー(以下エンタープライズ)が1990年代半ばに直面したのは、まさにこの課題だった。だれしも高品質なサービスの提供を是と考えているが、多忙でありながら、意欲的で自律性の高いマネジャーが行き届いたサービスを提供するために全力を注ぐかどうかは、また別問題であった。

 94年までの10年間、我々は目覚ましい成長を遂げてきた。張り巡らされた支店網は4000店超の規模へと拡大し、売上げは約2億ドルから20億ドルへと増大し、利益は毎年増え続けた。毎日、全米のどこかに支店をオープンさせ、次は海外市場に打って出ようと考えていた。しかし、顧客からの電話や手紙、友人から聞かされる話から、当社のサービスは品質も一貫性も共に不十分であることがわかった。

 これは私の悩みの種だった。というのも、私の父ジャック・テイラーは、顧客一人ひとりに対応した高水準のサービスの提供を目指してエンタープライズを設立したからだ。この使命を守り通し、同時に成長を持続させるには、何度も戻ってくるリピート顧客を確保することが唯一の方法だった。問題は、成長の推進力であるライン・マネジャー(彼らには十分な報酬が与えられていたのだが)が、当社の深刻かつ構造的な問題に気づいていないことだった。

 エンタープライズのどこかが破綻しているという認識を共有すること、そして一丸となって問題の解決に取り組むことは、長く険しい道程であることを思い知った。