雇用の保障が献身を引き出すのではない

 社員のロイヤルティと引き換えに雇用の保障を約束する、伝統的な「暗黙の契約」は解消されつつある。その結果、企業は「身軽さ」を得た。それは、たとえばビジネス・ニーズの変化に合わせて社内の人材構成を刷新したり、雇用調整のためにレイオフを実施したりする自由である。一方、失ったものもある。社会通念に照らしても当然だが、献身的な労働力である。

 では、社員の熱意ややる気を犠牲にすることなく、雇用の保障を放棄することは不可能なのだろうか。いや必ずしもそうではない。

 世界中のさまざまな業界から選んだ400人のミドル・マネジャーに関する我々の研究では、「エンプロイアビリティ」(雇用される能力)、すなわち人材市場において魅力的に映るスキルを向上させてやることで、たとえ雇用が保障されていなくとも、会社にとどまり、献身的に働くことがわかった。

 調査では、ロイヤルティについて2つの指標に注目した。マネジャーの愛社精神(「コミットメントとは何か」を参照のこと)と会社への執着度である。我々は、エンプロイアビリティを高めたり(マネジャーが人脈を広げるのを支援するなど)、雇用保障を引き下げたり(何度もレイオフを実施するなど)といった企業行動と調査で得られた回答との相関関係を調べた。