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取締役会は自らが運営に携わっている企業のほとんどの活動について熟知しているが、どの取締役も、またトップマネジャーも、企業成長に果たす技術の役割の重要性を十分に理解していない。
本稿は、取締役やトップマネジャーの思考に、ある重大な変化を引き起こすものであるが、そのなかで著者は、技術をR&Dと新規工場・設備の両者に対する投資を含むものとして定義しなおすとともに、新しい測定手法の開発について報告し、企業の競争力と成長を評価するための技術監査を提唱している。
製造業界における取締役であれば、自らに信託されている義務を遂行し、実りあるものとするために――もろもろの複雑な問題のなかでも――企業の成長と競争力に対して、それをとりまく多くの社会的変化がもつ影響についてはもちろんのこと、技術進歩がもたらす影響について理解していなければならない。取締役は、自社のライン組織上の管理者が、最も広い意味における技術を可能な限り効果的に使っていることに確信をもち、それを保証することが必要である。
20年以上にわたって、ある経済学者の小グループが、R&Dと経済成長および生産性との関係について研究を続けてきているが、その成果は、2つの報告書に盛り込まれている(1)。こうした研究成果は有益ではあるが、なるべくならば自分たちの抱える固有の問題に密着した情報を必要とする取締役やトップマネジャーの関心を引きつけるものではない。
われわれは、アーサー D. リトル社で薬品および化学工業についての研究を行なった――これらの産業は、R&Dの成果が現われるのに十分な時間である20年間(1959~1979年)にわたって、R&D支出を報告し続けてきた唯一の産業である。そればかりではなく、われわれは、これまでの研究とは異なって、企業成長と将来ならびに現在の累積的技術投資との相関をみるために、現在の技術支出をも研究に含めた。
われわれは、薬品および化学企業の個別の成長を測定するために2つの方法を用いた。第1の方法は、営業利益(売上高から、減価償却・減耗償却費控除前の全営業費用をさし引いたもの)の1959~1960年の平均に対する1978~1979年の平均の増加額による。第2の方法は、同じく1959~1960年から1978~1979年の期間における各企業のキャッシュ・フロー(純利益に減価償却額を加えたもの)の増加額に基づくものである。
以上の分析から、いくつかの現象を観察することができる。
□この20年間の前半期に相当する1959~1972年に、R&Dおよび新規工場・設備に重点投資をした薬品および化学企業が、1959~1979年の全期間をとってみれば、営業利益およびキャッシュ・フローの最大の成長を示している。
□各薬品会社、化学会社の業績は、それぞれの業種のなかで業績の最もよいものおよび最も悪いものに関する産業専門家の見方に一致していた。
□技術への投資の高い投資収益率は、新技術への投資の一般的限界投資収益率が相対的に高い、というエコノミストの結論を裏書きするものである。



