株価連動型報酬が企業を内側から破壊する

 それは単純な考えである。そう、経営陣を自社株やストック・オプションによって報いれば、株主が最も喜ぶように行動する。つまり、経営者は会社の所有者の一人でもあるため、利益を上げるよう働くようになり、自ずと株価も高まり、そうすれば自分自身のみならず、他の株主も等しく報われるようになるというのだ。

 このような株価連動型報酬は、経営者たちを、株主が望むような行動へと駆り立てる有効な方法として、これまで当然のように考えられてきた。しかし、いつもこううまく機能するとは限らない。実際、株式で経営者を動機づけたゆえに、企業がかなりの広範囲にわたってダメージを被ることがある。戦略を遂行するようにはっぱをかけても、結果的には株主の金で経営者たちの懐を厚くするだけなのだ。

 エンロンとその一派がたどった軌跡について考えてみよう。ドット・ボム(ドットコム企業の凋落)の張本人たち同様、これらエンロン一派も、値上がりが確実に見込まれる株価連動型報酬によって経営陣を強く動機づけたのは周知のことである。その結果、社内は荒廃してしまった。

 本当に経営者と株主の利害が一致していたならば、なぜこのような「内部崩壊」が起こったのだろうか。