経営者の認識や判断はたいてい間違っている

 企業における意思決定の大前提、すなわちそれは、経営者は正しい判断を下すにふさわしい、正しい知識を持ち合わせているということである。

 ところが、先頃終えた30年にわたる我々の研究調査は、長年来、多くの人たちが「本当は違うのではないか」と薄々知っていたことを裏づけるものだった。すなわち、経営者は往々にして、自社のビジネスとそれを取り巻く環境についてかなり歪んで理解していたのである。

 自社にまつわる情報や関連する市場の情報をたえず受け取っているにもかかわらず、経営者は特定の事業単位、業務、競争条件において現在進行中のことばかりに気を取られている傾向がある。まさしく「木を見て森を見ず」なのだ。

 彼らの分析の基盤となっているのは、社内の公式文書(しばしば内容を誤解するのだが)、個人的な経験、福利厚生施設などで耳にした噂、何かの委員会での会話、雑誌の記事、CEOのスピーチ、その他必ずしも信頼性があるとはいえない情報源等である。

 経営者の認識と事業に関する客観的事実、その間に隔たりがあることが調査によって明らかになり始めたのは、1970年代のことである。