国際市場における主導権争いは、競争者の技術の優劣によって決着がつく。アメリカの企業は、近年、この戦いに破れ続け、結果として、アメリカ経済は打撃を受けてきた。ところが皮肉なことに、アメリカの多国籍企業は、重要な技術革新を生み出すのに必要ないろいろな革新的リソースと同様、海外の研究開発を利用していたのである。

 しかし彼らはこれらのリソースを、本来そうすべきほど開発することも、利用することもしてこなかった。

 本稿の著者は、アメリカ企業の国際的技術革新に対する取組みの弱点を探り、既存のリソースを有効に利用するためのガイダンスを提示している。著者の分析は、50人以上のアメリカ、ヨーロッパおよび日本の多国籍企業の経営者に対するインタビューと世界中の240社に対する郵送調査、ならびに100例の外国におけるR&D投資に関するデータがベースになっている。

 1950年代末においては、世界の主要な技術革新の80%以上が、アメリカで生み出されたものであった。この値は、1965年には55%に減少し、今日まで減少が続いている。

 近年、日本のビジネス界の首脳たちは、アメリカの技術を研究し、修得するために、毎年4万回以上、アメリカを訪れている。しかし、米国において彼らと同じような立場にいる者は、新技術の調査を日本の首脳たちに比べてはるかに非集中的あるいは非系統的に行なっているにすぎない。

 これらの事実には、次のような重要な意味がある。すなわち、アメリカは、多くの技術分野で、かつて享受した優位性を失ってきているということである。多くの国が、いろいろな面で、主導権を握ってきており、その他の国も、技術的優位性の獲得競争に加わっている。

 例えばフランスは、電気機関車、原子力、航空および自動車産業において、精力的に技術革新を行なっている。西ドイツの企業は、化学・製薬、精密・重機械、重電機製品、冶金、および輸送機器の分野をリードしている。また日本は、光学、半導体物理、エンジニアリング、化学、およびプロセス冶金の分野に優れたものを持っている。

 主要な技術革新に占める諸外国のシェアの拡大に伴って、新しい高成長ビジネスのうち、外国でスタートするものの割合が増加してきている。ポートフォリオ・マネジャーが使う特殊な用語によれば、海外で出現している新事業は、今のところ、「疑問符」であり、将来ある程度まで「有望な星」や「金のなる木」に発展する可能性はあるということである。

 諸外国での急成長ビジネスの数およびシェアが増加し、激しい対外競争が続くということは、アメリカ経済にとって、長期的収益が低下することを意味する。

戦略上および作戦上の論点

 アメリカの製造業界は、いかにすれば、これらの挑戦や世界的な技術戦線の変化に対応できるのか。技術革新を果たすうえで、業界がもはや国内のリソース(訳注1)だけに頼ることはできなくなっていることは確かである。したがって、大部分のアメリカの大企業は、他国の創造力の利用を図る必要がある。