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郵便切手よりも小さい1つの半導体チップを利用した今日のワンチップコンピュータは、部屋全体を占拠しかつ運転するために幾マイルにも及ぶ配線を必要とした機械の子孫である。この小さなシリコン・ウエハーは値段的にも安くなり、また計算能力が増大したこともあって、その用途は多様化し、今や驚異の的である。チップは何らかのかたちでわれわれの生活の多くの面に影響を与えている。つい最近まで、この分野の文献のほうは技術の拡大していく速度に追いつけずにいたが、研究者たちは、チップをベースにしたコンピュータが、とくに仕事、工業生産、オフィスそして教育に対して与える影響を研究し始めようとしている。本稿では、コンピュータとビジネスに関するスペシャリストが、最近出回っている文献を論評し、コンピュータ革命と呼ばれるなかでわれわれが現在どこに位置しているのかについて専門家たちの見解を示している。
今日、コンピュータに関する記事のほとんどに、小さなシリコン・ウエハーを人差し指にのせている写真を見かける。この小さなチップこそ、今や"コンピュータ革命"の象徴となっている。幅4分の1インチ以下のこの四角形を、奇跡を起こすチップと見なしたとしても決して大げさな言い方とはならないだろう。実際、このチップとそれがもたらした新しい時代について、われわれが想像できる奇跡を事細かに扱った示唆的な論文が一般の出版物に掲載されていることは、驚くべきことである。
コンピュータに関する文献は、コンピュータ技術とほぼ同程度の速度で増大しつつある。多くの文献がタイトルに革命という言葉を用い、この問題を総括的あるいは通俗的なかたちで論じている。主題の豊富さを考えてみると、なぜ世間ではコンピュータ技術の可能性を感じるために、『スター・ウォーズ』や『帝国の逆襲』といったSFを読まなければならないのであろうか。その明らかな理由は、情報のもつ短い有効性であろう。そしてそれは、出版社および著者の両者に"ものすごい"予言が書かれた書物が書棚に並ぶ以前に、その予言が現実のものとなるのではないかという恐れを与えているのである。
ビジネス書に関して、最近までこの分野のライターは多くの経営者と同じように、チップを用いた新しいテクノロジーがどこまで応用可能となるのか認識不足のようであった。マイクロプロセッサ・チップが1971年にインテル社で開発された際、当時同社の会長であったロバート・ノイスはその可能性を洞察し、この分野で他社を大きくリードできるよう開発を奨励した。競争に参加できたはずの他社は、このうっかりするとすぐ紛失してしまうほど小さなコンポーネントの開発に躊躇してしまった。しかしノイスは、チップは大変安くなるので多少の損害は無視し得ることをすでに認識していた。
ビジネス分野における多くの真面目なライターは、技術と実用化との時間的ずれについてはもちろん、かれらの持つデータが陳腐化しやすいものであることも認識したうえで、雑誌などで自らの考え方を提示している。これらのライターは、コンピュータ技術およびそれが適用されているビジネスの活動の両面について、理解を深めるものがますます多くなってきている(1)。その代表的なライターが2人いる。それはリチャード L. ノランとシラス R. ギブソンで、彼らは今日では古典的となっているコンピュータの発展の4段階説を論じている。これによって経営者は、自分の組織においてコンピュータを生産性拡大の指針とするばかりでなく、いかに上手に利用できるかというスキーム(体系)を得ることができたのである(2)。
その他の最近の重要な記事では、コンピュータ拡大に関する管理(3)、分散処理によるコンピュータの普及(4)、さらに未来のオフィスに向かっての動き(5)などのコンピュータ・マネジメントの重要な側面に焦点が合わされている。
これらの記事やその他を通して、コンピュータが普及しつつあることがよく理解できる――あるものはホスト・コンピュータからケーブルを通じて延長し、またあるもの(スタンドアロン型のミニコンピュータ)はホスト・コンピュータとの接続コードをもたず、電話線またはケーブルによって相互間でコミュニケートする。また人工衛星によって結ばれているものもある。
独立戦争のときのポール・リビアのような「コンピュータがやって来る!コンピュータがやって来る!」と警告してくれる人がいないのならば、われわれはそうした人を探すべきなのだろうか。われわれは残された時間内でコンピュータ革命の計画を立てるべきなのであろうか。
革命はいつ起こるのか
エレクトロニクスにみられる急速な発展――それを表現する1本の指の上のチップの写真は、今日のコンピュータ記事の一つの特徴なのだが――を考えるとき、将来のビジネス界に与えるコンピュータの影響とは一体どんなものであろうか。今ではほとんど誰もが、マイクロプロセッサ・チップが絶えず小さく、より安価に、より強力に、そしてより一層ポータブルになるのを認めている。そして多くのライターは、技術よりもむしろ人間の想像性の限界こそが未来のコンピュータ利用を制限する要因であろうという点で見解が一致している(6)。
専門家がコンピュータの目ざましいほどの応用範囲の広がりをいろいろ予言しているが、その多くは今日完全に実現できるか、あるいは、現在完全に予知できる範囲内の技術をもって、明らかに到達できるものである。それ故に、今日のコンピュータの利用状況が理解できれば、明日の可能性を垣間見ることもでき、現在直面している問題が把握できれば、それは未来の障害物を回避するのに役立つだろう。



