自前主義開発にもはや逆行してはならない

 世界は知識で氾濫している。とはいえ、優れた頭脳の持ち主があなたの会社で働いてくれるとは限らない。そして、新しい画期的なアイデアが、従来のやり方にとらわれない新興企業、あるいは競合他社の研究者によって生み出されるかもしれない。

 イノベーション志向の企業を見ると、このような脅威に対抗すべく、自社のR&D事業を外界から隔離し、とっておきのアイデアをライバルに盗まれないように防御を固めているところが多い。

 これらの企業は、「クローズド・イノベーション」という古いパラダイムにとらわれている。優れたアイデアは社内でこそ生まれる、つまり「成功したいならば、自分でやるしかない」という思考に縛られているのだ。

 このようなクローズド・イノベーションは、垂直的統合と排他的管理をR&D戦略に採用している。このパラダイムは、20世紀では十分機能した。しかも期待以上にだ。エジソン研究所やベル研究所を見れば明らかである。

 しかし、このような隔離政策はイノベーションそのものを阻害しつつある。いまや情報はインターネットを通じて、低コストで瞬時に流れる。優れた頭脳の持ち主たちは従来にもまして広く分散しているにもかかわらず、より緊密に結びつくようになった。