早期警戒システムの機能不全

「こうなることが、なぜ事前にわからなかったのだろう」。経営幹部なら、だれしもこんな台詞を絶対に口にしたくないはずだろう。ところがほとんどの企業に、このように嘆くことになるのも当然といえる行動が見られる。

 2002年、我々は世界規模の調査を実施し、戦略スタッフ140人から回答を得た。それによると、企業に大きな影響を及ぼすような出来事が突然発生し、肝を冷やしたことが過去5年間で3度も起こったことを、140人のうち、何と3分の2が認めている。

 さらに驚くべきことがある。回答者の97%が、自分の会社では早期警報システムが機能していないと答えている。将来を予見し、競合企業の脅威に対処することが重大な職務と心得ているはずの戦略担当者の言としては衝撃的である。

 彼らがいかに努力しても、市場リポートから業界紙、調査リポート、ウェブといった膨大な量のデータで身動きが取れなくなっているだろうことは想像にかたくない。成功の秘訣は、本物の情報とガセネタとを選別することにある。そして、高性能な早期警告システムが機能するかどうかは、まさにこの点次第なのだ。そのようなシステムの構築には次の3段階が考えられる。

【第1段階】
ビザ・インターナショナル:シナリオを描く

 シナリオ分析は、長期戦略や投資、開発計画の策定に役立つ。たとえば1990年代後半、ビザ・インターナショナルはウェブをベースとする新たな脅威にさらされていた。クレジットカードを介さない支払方法、すなわちオンラインのP2P(peer to peer:個人間)取引の登場である。