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将来のキャッシュ・フローが企業の成功のカギを握る重要な要因であることを、とやかくいう経営者は多くはいないだろう。それは特に、今日のようなインフレ下で、すでに高い資金コストをさらに高くするような状況下では、より当然である。しかし、ほとんどの経営者は、自社企業の資金をモニターしている程度で、進んで資金をいかにコントロールすべきかとか、自社の戦略的優位のために、どう使うべきかについて、何らアイデアがないのである。
戦略計画協会(Strategic Planning Institute)のブラッドレイ・ゲールとベン・ブランチの両氏は、その広範な企業分析のデータベースから選んだ情報に基づき、企業のキャッシュ・フローはうまく操縦することができるものであり、企業戦略にキャッシュ・フローは有効な道具となりうることを見出した。本稿で、両氏は、企業の競合状況、市場の成長率、そして目下の戦略的対応策といった要因が、企業のキャッシュ・フローに予期できる効果を持っていることを示している。
これらの要因が、企業内での資金内生に、いかに障害となりうるかを理解することによって、1つの事業部門の経営者は、資金の使途としてのいくつかの戦略代替案の間のどれを選ぶかに当たって、プラス・マイナスをつけて評価することができる。また、いくつかの事業や企業をまとめたグループの経営者についても、その資金を個別の部門に配分する能力を高めることができる。
経営者は、自分たちのとるビジネス戦略が、ちょうど凧の尻尾にでもブラ下がっているように、ままならないものであると考えたり、資金内生額の変化があまりにも不規則で、予知し難いものであるため、これをうまく管理することはできないと考えたりする。実際はそうではなく、その逆が正しいのである。企業のキャッシュ・フローは予測し得るものであり、管理し得るものである。企業の戦略と、市場での位置が、直接それを左右する。この点の認識は企業経営上の基本であり、それにより心配のタネが消えるのである。これは、ある1つの事業部門の経営者のみならず、また代表取締役やグループの経営者にも当てはまることである。
1つの事業部門を考えると、その部門は日常の経常業務を成長させ、合理化し、資金手当をつけてやるためにも、まず金がいるのである。しかし経営者は、どの部門が資金内生の源として信頼でき、どの部門が成長のために大量の投資を必要としているかを知るために、1つひとつの部門の資金内生の潜在能力を分析しなければならない。
1980年代には、消エネや環境保護といった、いわば非生産的な資金使途により多くの資金を費やし、これによって資金を枯渇するような状況下にありながら、企業は資金の多様な必要性に迫られてくるであろう。そのうえ、天井を知らないインフレが資金内生の脅威となるのである。それに米国の生産性の停滞という事態が、資金確保の問題を一層難しくする。なぜならば、それは、相当な犠牲を払ってでも大多数の企業の活性化の必要性を強調するからである。われわれは資金の内生や資金使途について、いくつかの重要な事実や、企業がこの重要な資源を乱用していることを見出し、では、どうすれば、企業内のキャッシュ・フローを有効に再構築できるかを示すために、PIMSの企業分析のデータベースを用いた(PIMSについては、87ページのカコミを参照されたい)。
その主な点を指摘すれば次のとおり。
□ 成長は内部資金を枯渇する。強い市場でビジネスをするということは、結構なことであるが、それだけに早いペースを保っていくために資金がいる。また市場の実質成長は止まっていて、ゼロ成長でも、インフレが企業資金を枯渇するのである。
□ 相対的に高いマーケットシェアは資金の内生力をふやす。しかし、将来の市場でのよい地位を確保していくためには、マーケティング活動や新製品の開発面で、多額の支出を必要としよう。
□ 十分な資金を確保していくためには、前向きの積極的な資産管理が不可欠である。売上高の伸びに比べて、多い投資を維持することは、常に資金供給への圧迫という脅威を伴う。



