アメリカ企業の助成金はほとんどが国内向け

 アメリカの多国籍企業は世界を舞台に影響力を増し、その勢力範囲を拡大している。

 10年前、ウォルマート・ストアーズのアメリカ国外での売上げはほとんどないに等しかったが、いまでは14%である。同じ時期、ゼネラル・エレクトリックの海外売上げは16%から33%へと増加し、プロクター・アンド・ギャンブルでは40%に満たなかった売上げがゆうに50%を超えるに至った。靴からソフトウエアに至るまで、幅広い業界でアメリカ企業の多くが同様に驚異的な数字を記録した。

 しかし、海外市場での売上げ増や海外労働力による利益成長に見合ったかたちで、海外におけるフィランソロピーは拡大されてはこなかった。実際のところ、アメリカ多国籍企業がその助成金の10%以上を国外へ配分することはきわめて稀である。

 それは、企業市民のあるべき姿として望ましくないだけでなく、企業利益の観点から見ても得策とはいえない。アメリカ多国籍企業の製造、雇用、R&D、販売などが海外移転していけばいくほど、「与えるもの」と「手に入れるもの」を目に見えるようにバランスさせることが、かつてないほど重要になっている。

 もはやアメリカン・ブランドだというだけで、価格プレミアムが意のままになるという時代は終わった。いくつかの国では、特にヨーロッパ諸国では、むしろアメリカン・ブランドであることが価格的に不利に働く場合すらある。

 これら多国籍企業は国外の消費者の心もつかまなければならないが、それは世界にあまねく平等に貢献するというバリュー・ステートメントなくしてはなしえないだろう。全世界に言行一致を表明する企業だけが、世界中の顧客や社員、投資家たちを引きつけて離さない力を蓄えていくのだ。