増加の一途をたどる海外100%子会社

 なぜアメリカ企業は、たとえば中国やインドなどの国々で事業を立ち上げる際、現地のパートナー企業抜きで始めるのだろうか。

 長い間、経営者たちは海外でのチャンスを存分に生かすには、現地企業と手を組むことこそ最善の方法であると信じてきた。パートナー企業は現地市場に精通しており、投資コストも喜んで分担してくれるうえ、現地政府に話をつけてくる存在でもある。

 しかし、3000社以上のアメリカ多国籍企業を対象に実施した調査によると、単独での海外進出を選択する企業が増加しつつあることが判明した。1982~97年の間に、海外の関連子会社に少数株を保有する企業が17.9%から10.6%に減った一方、完全子会社を有する企業は72.3%から80.4%に増えた。

 これは「現地企業との提携を重んじる」というレトリックから言えば、驚くべき変化といえよう。しかしこのレトリックには、ある重要な視点が一つ欠けている。そう、「多国籍企業の進化」である。

 さらなるグローバリゼーションが進行している過程で、多国籍企業はみずからのバリューチェーンをばらばらに分解し、製造にまつわる各工程を異なる国々に分散させた。こうして現地市場とは異なる市場の消費者に向けて、原材料や部品を最も安い国で買いつけ、労働力や組立コストが最も低い別な国で製造することに長けてきた。

高まる合弁事業のコストとリスク

 グローバル・ビジネスのあり方が変化するにつれ、現地パートナーとのいざこざが増え、経営陣への負担が重くなる確率が高まっている。それは少なくとも、次の3つの分野で起こりうる。

 第1に、調達、販売、財務上の意思決定に現地パートナーが異議を唱えた場合、多国籍企業がトータル・コストを最小限に抑えるために、国をまたがって製造プロセスを構築することが難しくなる。