ライバルにでも恩義は返す

 欧米の経営者は、とかく中国の現地子会社が有する人脈は多ければ多いほど有利であると考えがちだが、それはあまり単純にすぎる。人脈やコネは中国語で「関係(グワンシ)」と呼ばれ、たしかにきわめて強い影響力を持っている。

 しかし、関係を重んじるあまり、頼みの綱である営業や資材調達の現地スタッフが本社の利益に反するような行動を取ることも少なくない。中国では常に人間関係が最優先されるが、そのような環境では、だれがだれと友だちなのか、正しく把握しておかなければならない。

 たとえば製薬業界では、外資系企業で働く中国人営業担当者が、ライバルである地元メーカーの商品も扱うケースが珍しくない。

 なぜそのようなことになるかと言えば、この営業担当者は彼の「関係」を会社の資産ではなく、自分個人の財産と見なしているからである。自分の「関係」はさらに開拓し、死守し、活用すべきものなのだ。しかも、このような人脈をすべて雇い主に明かす必要はないと考えられている。

 彼がライバルの製品を地元の病院に売り込むのは、以前に受けた恩義に報い、絆を強め、加えて臨時収入を手にする手段である。その結果、すべてのツケは雇い主に回されるという寸法だ。

 同様に、中国人営業担当者はえてして自分の顧客に有利な融資条件を提示しようとする。時には会社の利益に反してでも顧客に便宜を図りたがるのは、自分個人の人脈を強化したいからにほかならない。