イノベーション・ネットワークの広がりと複雑化

 人脈や専門的なネットワークはイノベーションに不可欠である。では、どのようなネットワークがいちばん望ましいのだろうか。

 そこで我々は、発明家同士の関係について調査した。その結果、ごく少数のキー・プレーヤーが、数多くの小さなネットワークを束ねて、より大きなネットワークにまとめ上げる触媒の役割を果たしており、彼らが地域全体のイノベーションを促す力を備えていることがわかった。

 アメリカの何百もの大都市圏における特許権について調査したところ、この20年間で発明家のネットワークは規模が劇的に拡大したが、その結合のほどもいっそう複雑になっているという事実が浮かび上がった。

 共同発明による特許の件数や割合が増えただけではなく、地理的に遠く離れた発明家同士のつながりも増大している。かつては孤立していた発明家たちのグループが一つにまとまるにつれて、業界や分野を横断した広範な情報伝達ネットワークが出現するのだ。

 このような発明家同士のコネクションが密になると、その地域におけるイノベーションの生産性――特許活動を基準に測定した――は全般的に高まる。一方で、これは経営者にすれば両刃の剣でもある。

 もしあなたの会社にこのようなネットワークがあれば、そのイノベーション力はおそらく高まることだろう。しかし同時に、競争相手を利するような情報漏洩や知識の流出にさらされる度合いも大きくなる。