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火星プロジェクトは失敗の連続だった
2004年1月、2台の小さな火星探査車、ローバー[注]が火星に無事着陸し、衝撃的な映像を地球へ送ることに成功した。しかしその4年前、わずか3カ月という間に、2機の探査機を立て続けに失うという痛恨事をNASAは経験している。
この大失態を受けて、無人探査機開発計画の基本方針である、通称「FBC」("Faster, Better, Cheaper":「より速く、よりよく、より安く」)に非難が集中した。FBCは、無人探査機の開発コストを大幅に削減し、開発期間を短縮するために打ち出されたコンセプトである。
たしかに速くて安くはあったが、FBCには根本的な欠陥があった。1999年の相次ぐミッションの失敗は、それを如実に物語っていた。
私はFBCプログラムの経緯をNASAのプロジェクト・マネジャーたちに取材した結果、巨大組織NASAの全局に共通する問題を発見した。それは、一言で言えば、学習能力の欠如である。火星から得た教訓は、きっと他の組織にも役に立つことだろう。
NASAは宇宙探査機開発計画のコンセプトを「慎重、信頼、高コスト」志向から、先のFBCに転換させると同時に、プロジェクト・マネジャーたちにまったく新しいプロセスや手順を開発するよう要求した。
なぜなら、FBCを標榜するとなれば、予算も開発スケジュールも、また探査機の重量にもおのずと制約を受けるため、既存の方法ではとうていクリアできないからである。
あるマネジャーによると、「いまのマニュアルに書いてあることは役に立たないから、もう捨ててしまおう。違うやり方を試して、新しいマニュアルを書かなければ」という雰囲気だったそうだ。



